“秋古馬三冠”の凄さを語る! 追悼ゼンノロブロイ【競馬コラム】 

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“秋古馬三冠”の凄さを語る! 追悼ゼンノロブロイ【競馬コラム】

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先日、秋古馬三冠を達成した名馬ゼンノロブロイが心不全のため亡くなりました。享年22歳。サラブレッドの平均寿命が25歳前後といわれている中では少し早く天国に旅立ってしまったことをとても残念に思います。
ゼンノロブロイといえば”秋古馬三冠”を思い出されます。実はその秋古馬三冠を達成したのは、これまでの日本歴代最強馬との呼び声が高いテイエムオペラオーとゼンノロブロイの2頭だけなんです。それほど凄い記録なんですがゼンノロブロイ自身がそれ以外のG1を勝っていないためか、種牡馬としても少し地味な印象でした。しかし、ゼンノロブロイはそれ以外にも多くの記録を持っています。
そこで今回はゼンノロブロイ追悼記念と題して、秋古馬三冠がどれだけ凄いのか。過去の名馬たちが幾多も挑戦し敗れた秋古馬三冠の壁がどれだけ高いのか。をお伝えしたいと思います。

そもそも秋古馬三冠って?

秋古馬三冠とは、JRAが主催する天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念の3つのG1を同一年で制覇することを言います。3歳の三冠レース(牡馬:皐月賞・日本ダービー・菊花賞、牝馬:桜花賞・オークス・秋華賞)と同じ考えです。
ただし、3歳クラシックは文字通り3歳時にしか出走権利がありません。しかし、秋古馬三冠は3歳以上なら牡牝問わず出走可能です。そのため何度でも挑戦可能となっています。
では、何度でも挑戦可能なら獲れる確率も上がるのではないの?と思われる方もいるかと思います。
確かに数字上そうかも知れません。でも考えてください。約80年(JRA発足後)の日本競馬史上で牡馬クラシック三冠はナリタブライアンを始め全部で8頭。牝馬三冠はアーモンドアイなど6頭だけ。そして、秋古馬三冠はたったの2頭しかいません。
競走馬の一生に一度のチャンスしかない3歳クラシック三冠よりも何度も挑戦可能な秋古馬三冠を達成した競走馬の方が少ないのです。
いかに秋古馬三冠が難しいのかお分かりいただけると思います。
そして、その困難な挑戦とあってか秋古馬三冠を同一年に制覇すると内国産馬では2億円、外国産馬では1億円の賞金ボーナスがもらえる制度が2000年からスタート。
これはコンディション調整の難しさから挑戦する競走馬が少なくなったためだと言われています。まさしく日本歴代最強馬に相応しい条件ですね。

ゼンノロブロイの栄えある記録

さて、秋古馬三冠の難しさを知っていただいたと思いますが、次からはゼンノロブロイが持つ数々の記録を紹介したいと思います。

サンデーサイレンス産駒初の年度代表馬

日本競馬の血統を塗り替えたといっても過言ではない大種牡馬サンデーサイレンス
日本歴代最強馬といっても良いでしょう代表産駒ディープインパクトを始め数えきれないほどの名馬を輩出したサンデーサイレンス産駒の中で最初に年度代表馬となったのはゼンノロブロイです。
秋古馬三冠を達成した2004年に年度代表馬に選出されましたので、2005年に選出された日本歴代最強馬ディープインパクトよりも先となります。サンデーサイレンス産駒初の年度代表馬という後にも先にも絶対に破られない勲章はゼンノロブロイの独り占めです。

有馬記念のレコードホルダー

 秋古馬三冠の3つ目のレースとなる有馬記念(G1)においてゼンノロブロイが、2004年に出した走破タイム2分29秒5は未だ破られていない記録です。
参考までに昨年の有馬記念を制したエフフォーリアが、2分32秒0という記録で、芝G1・7勝をマークし現在賞金王のキタサンブラックが2017年に記録したタイムは2分33秒6です。
さらに有馬記念でド派手な独走で引退レースを飾ったオルフェーブルでも2分32秒3。さらにもう1頭ド派手な独走劇を魅せたシンボリクリスエスさえ2分30秒5とゼンノロブロイが叩き出したタイムより1秒遅いです。
今後、有馬記念のレコードを出す日本歴代最強馬は現れるのでしょうか?

サンデー産駒№2の勲章

さて、先述の2つだけでもゼンノロブロイの凄さが充分に伝わるかと思います。それでも地味さは消えませんか?では次にサンデーサイレンス産駒の賞金ランキングをお届けします。

  1. ディープインパクト(145,455万円)
  2. ゼンノロブロイ(111,560万円)
  3. スペシャルウイーク(109,262万円)
  4. ダイワメジャー(100,223万円)
  5. ステイゴールド(76,299万円)

これがサンデー産駒トップ5の賞金ランキングですが、どの競走馬も今や名種牡馬ばかりですよね。ディープは誰もが知っている日本の至宝であり歴代最強馬ですし、父子で無敗の三冠馬となったコントレイルを始め多くの後継馬を輩出しています。スペシャルウイークも超名牝ブエナビスタの父ですし、ダイワメジャーレシステンシアカレンブラックヒルなど多くのG1馬を輩出していますよね。
そして、ステイゴールドは言わずと知れた暴君の血を受け継いだオルフェーブルやゴルシを出しています。
その中でもゼンノロブロイは獲得賞金ランキング堂々の2位なんです。ん、産駒ですか。ペルーササンテミリオン……うーん、やっぱり産駒も少し地味ですかね。

秋古馬三冠に挑戦した名馬・名牝たち(1984~2001年)

地味地味とばかり言ってたら天国のゼンノロブロイに怒られそうなので、最後は秋古馬三冠に挑戦し散った日本の歴代最強馬たちを紹介します。なお、紹介馬は基本的にG1馬のみで1995年以降は全て調べましたが、漏れている競走馬もいるかも知れませんがご了承ください。
※少し競走馬の紹介が多いですがお付き合いください。

1984年
ミスターシービー 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(1人気) 10着(1人気) 3着(2人気)

後方一気で史上3頭目の三冠馬に輝くも秋古馬三冠は1冠のみ。

1985年
シンボリルドルフ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2着(1人気) 1着(1人気) 1着(1人気)

史上初無敗の三冠馬もアッと驚くギャロップダイナに後塵を踏みました。

1995年
ナリタブライアン 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
12着(1人気) 6着(1人気) 4着(2人気)

日本競馬史上最強馬も怪我には勝てず。戦績の中では秋古馬三冠が負の遺産に。

1997年
エアグルーヴ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(2人気) 2着(2人気) 3着(2人気)

さすがは”女帝”。牝馬でこの戦績は凄いです。

1999年
スペシャルウイーク 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(4人気) 1着(2人気) 2着(2人気)

惜しい。怪物グラスワンダーの前にハナ差届かず。

1998年 1999年 2000年
ステイゴールド 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1998年 2着(10人気) 10着(15人気) 3着(11人気)
1999年 2着(12人気) 6着(10人気) 10着(5人気)
2000年 7着(4人気) 8着(13人気) 7着(10人気)

3回挑戦は唯一の存在も1レースも勝つことができず…

2000年 2001年
テイエムオペラオー 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2000年 1着(1人気) 1着(1人気) 1着(1人気)
2001年 2着(1人気) 2着(1人気) 5着(1人気)

史上初の秋古馬三冠と同時にグランドスラムも達成した名馬です。

グランドスラムとは

秋古馬三冠+天皇賞・春、宝塚記念を制したことを言います。

 

2000年 2001年
メイショウドトウ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2000年 2着(2人気) 2着(5人気) 2着(2人気)
2001年 3着(2人気) 5着(3人気) 4着(2人気)

オペラオーの影に隠れていますが、これも実は凄い記録、準秋古馬三冠馬。
ただし、ボーナスは出ませんでした。

秋古馬三冠に挑戦した名馬・名牝たち(2002年~現在まで)

2002年
ナリタトップロード 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2着(2人気) 10着(13人気) 4着(4人気)

引退の年(7歳)に秋古馬三冠に挑戦も少し遅すぎました。

2002年 2003年
シンボリクリスエス 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2002年 1着(3人気) 3着(1人気) 1着(2人気)
2003年 1着(1人気) 3着(1人気) 1着(1人気)

なぜかジャパンカップだけ勝てませんでしたね。それでも凄い記録です。

2004年 2005年
ゼンノロブロイ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2004年 1着(1人気) 1着(1人気) 1着(1人気)
2005年 2着(1人気) 3着(1人気) 8着(2人気)

こうしてみると如何にゼンノロブロイの凄さが改めて分かりますよね。
それも全て1番人気で制覇してますから、もう地味とは言えません。

地味とはおじさんが勝手に言っているだけです。

2005年
タップダンスシチー 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
9着(6人気) 10着(7人気) 12着(5人気)

果敢に挑戦するも敗北。距離が短すぎたのでしょうか?

2007年
メイショウサムソン 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(1人気) 3着(1人気) 8着(1人気)

全て1番人気も2つは惨敗。いかに秋古馬三冠が難しいか。

2008年
アサクサキングス 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
8着(6人気) 8着(6人気) 14着(9人気)

菊花賞馬も秋古馬三冠の壁は高かったようです。

2010年 2011年
ブエナビスタ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2010年 1着(1人気) 2着(1人気) 2着(1人気)
2011年 4着(1人気) 1着(2人気) 7着(2人気)

〇×パズル的にいえば、あと1年走れば有馬記念が取れたかも?

そんな理論はありません。

 

2011年 2013年
トーセンジョーダン 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2011年 1着(7人気) 2着(6人気) 5着(3人気)
2013年 11着(10人気) 3着(11人気) 14着(5人気)

1回目は惜しく2回目はボロボロ。齢には勝てないのでしょうか。

2011年
ローズキングダム 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
10着(4人気) 9着(9人気) 12着(9人気)

前年のジャパンカップ制覇までは良かったですが、やっぱり齢ですか。

2012年
エイシンフラッシュ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(5人気) 9着(5人気) 4着(3人気)

ダービー馬でも1冠が獲るのが精いっぱいなのでしょうか。

2012年
ルーラーシップ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
3着(2人気) 3着(2人気) 3着(2人気)

ある意味凄い記録。準々秋古馬三冠馬です。

2014年
フェノーメノ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
14着(3人気) 8着(9人気) 10着(6人気)

天皇賞・春連覇するも秋古馬三冠は距離が短かったのかも知れません。

2014年
ジェンティルドンナ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2着(2人気) 4着(1人気) 1着(4人気)

ディープ産駒賞金ランク1位の名牝も秋古馬三冠は厳しかったようです。

2014年
エピファネイア 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
6着(4人気) 1着(4人気) 5着(2人気)

今や№1種牡馬でも秋古馬三冠達成にはほど遠かったですね。

2015年
ラブリーデイ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(1人気) 3着(1人気) 5着(2人気)

1番の成長時期に挑戦するも1冠を獲るのが精一杯だったのでしょうか。

2017年
キタサンブラック 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
1着(1人気) 3着(1人気) 1着(1人気)

現賞金王も1歩足らず。それだけ秋古馬三冠は難しいってことでしょう。

2019年
スワーヴリチャード 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
7着(5人気) 1着(3人気) 12着(5人気)

ダービー馬3頭を抑えてのジャパンカップ制覇は記憶に新しいですが……。

2018年 2020年
キセキ 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念
2018年 3着(6人気) 2着(4人気) 5着(2人気)
2020年 5着(4人気) 8着(6人気) 12着(8人気)

いつかは奇跡を見せてくれると期待しましたが駄目でしたね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。幾多の名馬たちが挑戦し敗れた秋古馬三冠達成がいかに凄いかと理解していただけたと思います。
昨今では、凱旋門賞(仏G1)や香港G1などが同時期に行われるため秋古馬三冠レースに挑戦する競走馬が少ないようにも見えますが、中4週ピッチで中距離を走るタフさと強靭な精神力を持つ競走馬でないと今後も達成は難しいかと思われます。
そんな難関を突破したゼンノロブロイの凄さが少しでも伝われば、早逝したゼンノロブロイに対してせめてもの報いになったのではないかと思います。最後に……地味といってごめんね。


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