フジキセキ ~幻の三冠馬~ 名馬たちの記憶①【歴代最強馬】
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フジキセキ 幻の三冠馬
競走馬にとって、不治の病である屈腱炎を発症し、早期引退を余儀なくされたフジキセキ。
そのため競争生活こそ短命だが、僅か数回で魅せたスピードと父サンデーサイレンス譲りの力強さで”幻の三冠馬”と称された。
今回は、そんな幻の三冠馬フジキセキの輝かしい生涯の記憶に迫りたい。
馬名の由来
父は言わずと知れた、日本競馬界の血統史を一変させた大種牡馬サンデーサイレンス。
そのサンデーサイレンス産駒として初のG1馬に輝いたのがフジキセキである。
フジキセキは父と同じく青鹿毛。その点も偉大な父を彷彿させる。
1992年4月15日に北海道は千歳の社台ファームにて誕生したフジキセキは、馬主が静岡県富士市出身から富士山とキセキ(輝石・奇跡・軌跡)を起こすような馬になってほしいとの願いから、その名が付けられた。
世代頂点へ
颯爽と力強く走る姿で多くのファンを魅了したフジキセキ。
3歳新馬では2着に8馬身差の圧勝。続くもみじS(OP)では、のちの日本ダービー馬タヤスツヨシに1馬身と1/4差で勝利。
3戦目となった朝日杯3歳S(G1)では、スキーキャプテンとの叩き合いの末、クビ差で勝利し、デビューから3連勝。
3戦3勝で1994年最優秀3歳牡馬に輝いた。
同世代の他馬を全く寄せ付けない――その強さから1983年のミスターシービー、1984年シンボリルドルフと続いた再現。
前年の三冠馬ナリタブライアンに続いてフジキセキにも三冠馬という大きな期待が掛けられ、2年連続の三冠馬誕生に早くも競馬ファンは心を躍らせた。
悪夢、そして……
その後、年明け初戦の弥生賞(G2)でも2着に2馬身半差を付け、難なく勝利し4戦無敗とする。
いざ、皐月賞・日本ダービー。そして、菊花賞と続く三冠馬街道を――
誰もが、そう信じた矢先に――屈腱炎を発症。
そして、突然の引退が発表された。
生涯戦績4戦4勝。フジキセキの現役生活は実にあっけなく、無敗のまま三冠馬の期待も幻に終わってしまうのである。
難関だったゲート試験
今でも早期引退が悔やまれるフジキセキだが、その力強さとは裏腹にゲート試験(発馬機からの発走試験のこと)で苦戦したエピソードがある。
どの競走馬にも必ず合格しなければならないのが、このゲート試験。いくら能力が高くてもゲート試験の合格印を貰わなければ、レースに出走することができない。
それが競馬界のルールである。
ゲート試験は単純に馬がゲートに入れば良し。ゲートの中で立ち止まっていれば良し。とのイメージが浮かんできそうだが、そうは問屋がおろさない。
係員の指示でスムーズにゲートへ収まり、係員の指示で止まって、我慢することができること。
そして、ゲートが開いたらすみやかに真っすぐ走り出す。
これら一連のスタート動作ができるかどうかをチェックする。もちろん、競走馬にとっても騎手や運営側にとっても疎かにはできない。競馬は一歩間違えれば命にかかわる競技でもある。仮に疎かにしてしまえば、大事故に繋がり兼ねない。
そのため、どんなに速く走れる競走馬であっても決められたゲート試験を合格しなければ、レースに出走することは許されない。
それがレース前の競走馬にとって最初の難関とも言われるゲート試験である。
調教などから前評判がとても高かったフジキセキだが、競走馬デビュー前に行われるゲート試験は合格するまでに何と5回も要したのだった。
合格率70%と言われている中で、なかなかの落第数である。 これも気性が激しいと言われているサンデーサイレンス産駒の由縁かも知れない。
それでもレースに出走すれば、他馬を圧倒する強さを魅せたフジキセキである。
まさか幻の三冠馬とまでいわれたフジキセキにデビュー前、このような事態が隠されていたとは競馬ファンにとっては驚きだろう。
父親として、そしてSS産駒後継種牡馬として
あれから4半世紀以上が経つが、未だに早期引退が悔やまれることに変わりないが、引退後、種牡馬として、現役同様に活躍を見せたフジキセキ。
内国産(日本で生まれた競走馬)種牡馬の産駒でのJRA勝利数は歴代1位であった(ただし、2016年まで。翌年にはディープインパクトが記録更新)
最終的に産駒の勝利数は中央で1528勝、地方で2159勝。
また、代表産駒としては以下である。
※太字は牡馬、赤字は牝馬()内は主なG1勝鞍 賞金獲得順
カネヒキリ(2005年ジャパンカップダート他 ダートG1・7勝)
キンシャサノキセキ(2010年 高松宮記念)
イスラボニータ(2014年 皐月賞)
ストレイトガール(2015年 スプリンターズS)
サダムパテック(2012年 マイルチャンピオンシップ)
ファイングレイン(2008年 高松宮記念)
コイウタ(2007年 ヴィクトリアマイル)
エイジアンウインズ(2008年 ヴィクトリアマイル)
ダノンシャンティ(2010年 NHKマイルC)
グレイスティアラ(2005年 全日本2歳優駿)
サンクラシーク[Sun Classique](2008年 ドバイシーマクラシック)
※サンクラシークはフジキセキがオーストラリアにシャトル種牡馬にて生産した産駒。
種牡馬としては上記11頭のG1馬を輩出。父としても大成功を収めた。
そして、2015年の年の瀬に頚椎損傷のため、23歳で亡くなるまで1875頭もの仔を世に送り出し、JRA重賞を勝利した産駒を上記のG1馬を含め41頭も輩出している。
日本の血統史を塗り替えたといっても過言ではない大種牡馬サンデーサイレンスの偉大さを1番槍で世間に証明した幻の三冠馬フジキセキ。
この先、彼の血は数多くの後継馬たちを通して残り続けるだろう。そして、いつの日かフジキセキの血を持つ子孫が三冠馬となる日――その日が来るのを待ち侘びたい。
サンデーサイレンス | Halo | Hall to Reason |
Cosmah | ||
Wishing Well | Undestanding | |
Mountain Flower | ||
ミルレーサー | Le Fabuleux | Wild Risk |
Anguar | ||
Marston’s Mill | In Reality | |
Millicent |
生涯戦績 4戦 4勝(4-0-0-0)
主な勝鞍 朝日杯フューチュリティS
※馬齢は、当時に合わせて、旧表記(現表記+1歳)で表記。
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