ダイワスカーレット|歴代最強馬|緋色の風|名牝たちの記憶④

名牝たちの記憶
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ダイワスカーレット|歴代最強馬|緋色の風|名牝たちの記憶④

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ダイワスカーレット 緋色の風

緋色とは、濃く明るい赤色のことを指すが、まさに緋色(英語表記でスカーレット)の風の如く颯爽とターフを駆け抜けた名牝がいた。

栗毛のダイワスカーレットである。

ウオッカとは永遠の宿敵と言われ、対戦した5戦とも名勝負となった。ターフに緋色の風を舞うように走り生涯において連を外さなかった名牝ダイワスカーレット。

今回は、そんなダイワスカーレットの輝かしい記憶に迫りたい。

スカーレット一族の使命

祖母スカーレットインク(父Crimson Satan)は米国産馬で現役時代1戦0勝。社台ファームの創設者、吉田善哉氏が繁殖牝馬として購入し日本へやってきた。

日本競馬の礎を築いた大種牡馬ノーザンテーストとの間に生まれた栗毛の4番仔スカーレットブーケは牝馬三冠レース全てに出走するも勝つことはできなかった。

しかし、重賞G3・4勝という輝かしい戦績を収め繁殖入り。生涯で14頭もの仔を産んだ。その10番仔アグネスタキオンとの間に生まれたのがダイワスカーレットである。
なお、母ブーケの7番仔でG1・5勝馬のダイワメジャー(父サンデーサイレンス)は半兄にあたり、ダイワスカーレットが生まれた年の皐月賞(G1)を10番人気で制しスカーレットブーケ産駒として初のG1馬に輝いた。

また、G1優勝馬の母の仲間入りを果たしたスカーレットブーケにはブルーリボンローズといった姉妹がいる。ブーケを含めた4姉妹が現在、枝葉となってスカーレットインクのファミリーラインを形成している。ちなみにローズの孫にあたるヴァーミリアン(父エルコンドルパサースカーレットレディ)は中央・地方とダートG1・9勝を挙げた名馬である。
よって、そのスカーレット一族を担うダイワスカーレット・・・・・・と名付けられた牝馬への期待はとても大きいものになった。

ふわふわと浮く走り

スカーレット一族の使命を担うことなど知らず、すくすくと成長をみせたダイワスカーレットだが、牝馬特有の体調面での不安(発熱や感冒など)が常に付きまとった。

それでも2歳となった秋に京都競馬場でデビューを迎えた。
なお、デビュー戦には武豊騎手に依頼するも先約があった。そのため、安藤勝己騎手に依頼。この縁からか、ダイワスカーレットの全レースには安藤騎手が騎乗することになる。
そして、デビュー戦では断然の1番人気に応える走り快勝。奇しくもダイワスカーレットがデビューした同日のメインレース・マイルチャンピオンシップ(G1)にて3歳上の兄ダイワメジャーが勝利。兄妹の同日勝利が話題を呼んだ。

ちなみに兄ダイワメジャーの主戦騎手でもあった安藤騎手は「前へ突き刺さる重量感の走り」との兄に対して「ふわふわと浮くような軽いバネを持った馬」とダイワスカーレットへの乗り心地をコメントしている。

まさに例えると緋色の風ではないだろうか。

永遠の宿敵 ウオッカ

年が明け、3歳となったダイワスカーレットは2歳女王ウォッカと桜花賞トライアル・チューリップ賞(G3)で初対決となった。

レースでは、女王ウォッカを前に差し切りを図ろうとするも届かずクビ差2着。初対決は敗北となった。
桜花賞(G1)では、チューリップ賞の二の足を踏まないと鞍上の安藤騎手は差し切りではなく先に抜け出す戦法を取った。これが結果的にウォッカの追撃を抑える形となり優勝。見事、兄妹でのG1制覇を達成した。

そして、この騎乗スタイルを以てダイワスカーレットの先行逃げ切り戦法が確立されたのである。

桜花賞馬となったダイワスカーレットの目指すは牝馬クラシック二冠目となるオークス(G1)である。しかし、元来ダイワスカーレットが持っていた体質の弱さがでてしまい感冒(人でいう風邪)のためオークスを回避することになった。

そして、宿敵ウォッカが日本ダービーに出走を表明。さらに回避せざるを得ない状況が悔やまれた。ちなみに回避したオークスでは5番人気のローブデコルテが勝っている。

夏の休養を経て秋華賞トライアルを快勝し臨んだ秋華賞(G1)。宿敵ウオッカとの対戦はこれまで1勝1敗とイーブン。ここでも桜花賞で確立させた早めに先頭に立ち他馬を抜かせない勝負根性でそのまま逃げ切る戦法を取った。

そして、猛追するウォッカを抑え勝利。見事、牝馬二冠を手にした。

蛇足だが、ダイワスカーレットの父アグネスタキオンは無敗で皐月賞を制したが屈腱炎のため早期引退し、幻の三冠馬と言われた。
娘のダイワスカーレットも感冒のためオークスを回避したが桜花賞・秋華賞の結果を踏まえ、もしもオークスに出走していれば三冠牝馬確実だったとの声も多い。

女王誕生

牝馬クラシック二冠馬となったダイワスカーレットは、次走を古馬女王決定戦に駒を進めた。
しかし、レース前日まで1番人気だったウォッカが突如、出走を回避。
4度目となる宿敵との対決はお預けとなったが、前年覇者のフサイチパンドラ、前々年覇者のスイープトウショウといった強豪牝馬との初対決となったエリザベス女王杯(G1)。結果はゴールまで他馬を寄せ付けず逃げ切り快勝。これでG1・3勝目となった。

そのままの勢いで暮れの有馬記念(G1)に出走。ここでは兄ダイワメジャーも参戦となり兄妹対決が注目された。
レースでは、経済コースを走破した伏兵馬マツリダゴッホに破れはしたももの2着を確保。女傑ヒシアマゾン以来、実に13年振りの牝馬連対となった。
ちなみに兄ダイワメジャーは3着で惜しまれつつも、このレースをもって引退、種牡馬入りとなった。

伝説レース天皇賞・秋

年が明け4歳となったスカーレットは、産経大阪杯(G2)(現G1大阪杯の前身)に出走し、敵なしの強さを見せ勝利する。

しかし、レース後に右前脚管骨骨瘤(ソエ)を発症。春のシーズンを全休とし秋の天皇賞に直接向かうことになった。

そして、のちに語り草となる天皇賞・秋(G1)。このレースで1番人気は、これまで同じくG1を3勝している宿敵ウォッカ。なお、このレースが2頭にとって最終決戦となった。
すでに走破スタイルとして定着していた先頭集団からそのまま押し切る戦法に出たダイワスカーレット。それを背後からウォッカが追いすがる。

ゴール前、1度抜いたウオッカに対し再び抜き返そうとするダイワスカーレット。ほぼ同時にゴール板を通過した。15分もの写真判定の結果ウォッカに軍配が上がる。
その差は僅か2センチだった。

こうして永遠の宿敵との対戦は幕を閉じることになる。対戦成績は3勝2敗でダイワスカーレットに軍配は上がった。
そして、天皇賞・秋で魅せた2センチ決着はダイワスカーレットにとって悔やんでも悔み切れないほど後世に語り継がれる伝説のレースとなった。

天皇賞・秋での激戦を終えて、2度目の有馬記念に出走。
ファン投票2位(ちなみに1位はウオッカであるが疲れを見せたため出走回避している)でありながら、1番人気に支持されたダイワスカーレットは、外枠だったが最高のスタートを切り、ウオッカ不在のレースでは負けられないとばかりそのまま先頭で逃げ切ってゴール板を通過。
牝馬の優勝はトウメイ以来37年振りの快挙となった。

また、長い歴史を持つ有馬記念では今日まで4頭の牝馬が優勝をしているが、1番人気で優勝したのはダイワスカーレットが初である。

なお、これまで繁殖牝馬として、産駒のG1勝利数が1位だったのはナリタブライアン(G1・5勝)とビワハヤヒデ(G1・3勝)を産んだ名牝パシフィカスだったが、ダイワスカーレットの有馬記念勝利がG1・4勝目となり、兄ダイワメジャーのG1・5勝を足せば、産駒として9勝となり、母スカーレットブーケが単独最多記録となった。

早期引退、母として

有馬記念を終えて、翌年も現役続行となったダイワスカーレットは、当初の目標通りドバイワールドカップ(G1)を目指すことになる。

その前に初ダートを経験させるため、2月のフェブラリーS(G1)に出走を目論むが、左前脚の熱が治まらず出走を回避。結果的にそれが浅屈腱炎と診断されドバイ遠征も断念。
そのまま引退となった。

生涯戦績12戦8勝(2着4回)は、牝馬としてデビューから引退までの連続連対は牝馬として最多記録となった。ちなみに最高記録は三冠馬シンザンの19連対となっている。

あれから早いものでダイワスカーレットが引退してから13年の月日が経った。
現在も繁殖牝馬として活躍中である。

しかし、これまで不思議と10頭連続で牝馬を出産している。牡馬に縁がない中で2021年にロードカナロアとの間に待望の初牡馬を出産し話題となった。
すでに10頭の娘たちも数頭が繁殖牝馬となりダイワスカーレットの血を継承しているが、孫も含めてここまで目立った産駒は誕生していない。

しかし、2022年に10番仔の娘、2023年には11番仔の息子がデビューを控えている。

昨今、祖母スカーレットインクから継承されスカーレット一族が形成されたが、いつの日かダイワスカーレットの血を継ぐ若駒が、あの緋色の風とともに疾走したダイワスカーレットのように颯爽とターフを駆ける姿を見られる日を楽しみに待ち続けたい。

アグネスタキオン サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
アグネスフローラ ロイヤルスキー
アグネスレディー
スカーレットブーケ ノーザンテースト Northern Dancer
Lady Victoria
スカーレットインク Crimson Satan
Consentid

生涯戦績 12戦8勝(8-4-0-0)
主な勝鞍 桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯、有馬記念


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