ジェンティルドンナ|歴代最強馬|才女の貴婦人|名牝たちの記憶⑥

名牝たちの記憶
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ジェンティルドンナ|歴代最強馬|才女の貴婦人|名牝たちの記憶⑥

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ジェンティルドンナ 才女の貴婦人

無敗の三冠馬ディープインパクトを父に持ち自身も日本競馬史上4頭目となる牝馬三冠を成し得え、貴婦人と名付けられたジェンティルドンナ

英雄と呼ばれた父の産駒で一番の稼ぎ頭となった彼女の功績は父娘でJRA顕彰馬に選出されるほど偉大すぎた。

今回は、牝馬ながら牡馬も顔負けするような父を彷彿させるそんな彼女の記憶を呼び戻したい。

サンデー系に合う母の血

父は前述したが言わずと知れた無敗の三冠馬ディープインパクト。
ドナブリーニは英国で2歳G1を勝利したのち、3歳で現役生活を終え2006年タタソールズ・ディセンバーセールにてノーザンファームが12,000万円で落札した。

母の父はBertoliniといって父に世界的大種牡馬Danzigを持ち英国とUAEで現役生活を送り、重賞戦線では活躍したもののG1勝ちはない。

決して良血といえない母ドナブリーニに対して大種牡馬サンデーサイレンスの爆発的な血の飽和状態を駆使するため、サンデーサイレンス系に合う肌馬と見据えたノーザンファームが購入しサンデーサイレンスの傑作と掛け合わせて生まれたのがジェンティルドンナである。

クラシックまでの苦難

担当の調教助手から普通の馬と見立てられたが、調教を始めると非凡な才能を発揮。
大きな胸囲を持つ馬体から高い心肺能力を買われ、これならいつでも勝てると調教師を言わしめたほど優れた動きを披露した。

しかし、2011年の秋に京都で名手ミルコ・デムーロ騎手を背に1番人気でデビューを果たすも不良馬場に脚を取られたのか前のエーシンフルマークを捉え切れず2着に敗れてしまう。

デビュー戦では納得がいかない結果を見せるもその約1ヵ月後には阪神の未勝利戦で後続に3馬身半差をつける圧勝劇を魅せた。

年が明け続くシンザン記念(G3)でも力強い末脚で牡馬たちを一蹴し重賞初制覇を達成。一気に牝馬クラシック戦線に名乗り出た。ところが、ここでジェンティルドンナは競走馬としてとても厄介な熱発を起こしてしまう。

これで牝馬クラシック第1弾の桜花賞(G1)までの道のは前途多難となった。

苦難の牝馬三冠ロード

熱発の影響もあってか桜花賞トライアルのチューリップ賞(G3)では、2番人気に支持されるもハナズゴールの4着に敗れてしまう。

そして迎えた桜花賞。ビワハイジの娘で2歳女王のジョワドヴィーヴルに次いで2番人気と支持された。
レースは最後の直線で真ん中から抜け出し3ハロン上がり最速タイムでゴール。まずは1冠目を制した。なお、2着にはヴィルシーナだった。

当然、次走は牝馬クラシック第2弾となるオークス(G1)であるが、ここでも1番人気に支持されることなく、蓋を開けて見れば3番人気だった。

これは母や姉のドナウブルーがマイル路線で活躍したことや父の産駒から当時は長距離実績が未知数だったため加えてジェンティルドンナ自身が東京コース未経験だったことが加味されたと言われている。

しかし、貴婦人には関係なかった。桜花賞2着のヴィルシーナを大外から交わし結果5馬身差の圧勝。見事、牝馬二冠馬に輝いたのである。

夏の休養を経て、牝馬三冠ロードを歩むべく秋初戦のローズS(G2)を難なく完勝。秋華賞(G1)に向けて視界良好となった。

迎えた牝馬クラシック最終戦となる秋華賞。ここで牝馬二冠馬は期待も含めて堂々の1番人気に支持される。
続く2番人気は桜花賞・オークスと貴婦人の苦杯を舐め続けているヴィルシーナが虎視眈々と最後の1冠を狙う格好となった。

そして、レースでもこの2頭がゴール前でデッドヒート魅せた。写真判定にもつれ込み、結果はハナ差でジェンティルドンナの勝利。見事、史上4頭目となる牝馬三冠を達成した。

なお、2着のヴィルシーナは三冠レース全てジェンティルドンナの2着となり、あの娘さえいなかったら…状態となった。

暴君オルフェーブルとの歴史的一戦

牝馬三冠を達成し次の目標はジャパンC(G1)と定めたジェンティルドンナ。
このレースには、前年の牡馬三冠馬となったオルフェーブルやこの年の凱旋門賞馬ソレミア
そして、この年の天皇賞・秋(G1)を制した日本ダービー馬エイシンフラッシュなど豪華な顔ぶれが揃った。

レースでは、最後の直線で逃げた春の天皇賞馬で名牝ノースフライトの孫にあたるビートブラックの脚が止まり外から脚を伸ばしたオルフェーブルに挟まれる格好となるがオルフェーブルを外にはじき飛ばす、いわゆる後世に残る、俗にいうジェンティルドンナタックルを炸裂させる形で前進路を自ら作り最後は三冠馬同士の一騎打ちとなった。

以下ラスト200mの壮絶な実況を振り返ってみたい。

『ジェンティルドンナ、ジェンティルドンナ、オルフェーブル、オルフェーブル、ジェンティルドンナ、オルフェーブル、オルフェーブル、ジェンティルドンナ、オルフェーブル、ジェンティルドンナ、2頭が並んでゴールイン!』

これだけを聞くと、2頭だけのレースかと思わせるほど熾烈な争いとなった写真判定の結果、軍配はハナ差でジェンティルドンナに挙がった。

なお、心配されたジェンティルドンナタックルについての降着は認められず、岩田康誠騎手の騎乗停止処分のみで終える。

こうして熱発から始まった貴婦人の2012年はG1・4勝という輝かしい戦績を収め年度代表馬に輝くのである。

凱旋門賞を見据えるも

2012年の年度代表馬となったジェンティルドンナの翌年は、秋の凱旋門賞(仏G1)を最大の目標としてスタートした。
まずはドバイのメイダン競馬場で行われる世界競馬の祭典の1つドバイシーマクラシック(G1)に挑戦するも惜敗の2着。

帰国後、宝塚記念(G1)に1番人気で出走するもオルフェーブルの弟分である破天荒ゴールドシップに突き放される格好となり3着。
ドバイ・宝塚の連敗によりパワーが必要とされる馬場は不適格と判断され凱旋門賞の挑戦は断念された。

夏の休養後、秋初戦を選んだのは天皇賞・秋だった。暴君・破天荒の両馬不在の中、1番人気に支持されるも強烈なジャスタウェイの爆発力に屈してしまい、ここでも2着と敗退。鬼婦人・・・らしからぬ勝てない日々が続いた。

偉業達成の時

古馬となり未勝利のまま迎えた次走は連覇のかかるジャパンCを選んだ陣営は、ここで主戦騎手だった岩田康誠騎手に代わって海外の名騎手ライアン・ムーア騎手に乗り替わりを発表する。
そこには、天敵となった破天荒ゴールドシップも出走。

二強ムードが漂う中、レースは2年前の日本ダービー馬エイシンフラッシュが逃げる形で超スローペースとなり各馬が折り合いで苦しむ中、ジェンティルドンナだけが折り合いを付けていた。

そして、最後の直線に入ると並みいる強豪馬たちを寄せ付けない走りで史上初となるジャパンC連覇を達成した。

なお、40年以上の歴史を持つジャパンCを連覇した競走馬は、現在のところ、ジェンティルドンナのみである。

貴婦人ここにあり

年が明け、5歳となったジェンティルドンナは昨年の忘れ物を取りにいくためドバイシーマクラシックに再挑戦した。

しかし、その前哨戦となる京都記念(G2)でまさかの6着。自身初となる掲示板を外す大敗となった。
ドバイ遠征が不安視される中、それでも果敢に挑戦したジェンティルドンナは陣営の期待に応えるようにして昨年の忘れ物を回収するかのように勝利する。
これは牝馬として初のドバイG1制覇となった。

帰国後は、昨年同様に宝塚記念に出走するも9着と大敗。
遠征の疲れが出たと思われた宝塚だったが、天皇賞・秋ではスピルバーグの2着、3連覇のかかるジャパンCではエピファネイアの4着と3連敗を喫する。

もう貴婦人は終わったのか――と思われた引退レースとなった暮れの有馬記念(G1)。意外と有馬記念はジェンティルドンナ自身にとって初出走となった。

なお、この年の有馬記念はゴールドシップやエピファネイア、ジャスタウェイにフェノーメノといった16頭の出走馬中、実に10頭がG1馬であり、残りの6頭もG2勝ち馬という近年稀にみる超豪華メンバーが揃った。

2年前に地方騎手から中央騎手となった戸崎圭太騎手を背にジェンティルドンナは4番人気に支持される。

そして、ジェンティルドンナは終始道中3番手を位置した先頭集団から最後の直線で一気に突き抜けてゴールドシップやエピファネイアといった強豪たちを蹴散らし見事、自身の有終の美を飾った。

これでG1・7勝目。牝馬としてはウオッカに続く偉業達成となった。
なお、騎乗した戸崎騎手は、この年のリーディングジョッキー(中央で146勝)に輝いている。

貴婦人の血は娘たちに受け継がれる

引退から2年後、JRA顕彰馬に選ばれ父娘ともに顕彰馬となったジェンティルドンナは、これまで5頭の仔馬たちを輩出しており、つい先日モーリスとの間に生まれた3番仔ジェラルディーナ(牝4)がオールカマー(G2)を勝利し母ジェンティルドンナに初重賞をプレゼントしたことは記憶に新しい。

その後、2022年11月12日のエリザベス女王杯(G1)にて先の重賞初制覇をプレゼントした孝行娘ジェラルディーナが大外末脚爆発にて見事、優勝を飾った。

これはまさに名牝から名牝へ受け継がれた瞬間だったと言えるだろう。

まだまだ、繁殖牝馬としての活躍が見込まれるジェンティルドンナには、第2、3のジェラルディーナ輩出に頑張ってほしいと願うばかりである。

そして、この先ジェンティルドンナの仔から三冠馬が誕生すれば、親子三代で三冠馬誕生となる。

そう考えるとジェンティルドンナには全ての競馬ファンが熱望する大きな夢が託されている。
そんな競馬の浪漫という大きな夢を競馬ファンとして持てる喜びをジェンティルドンナを始めとする名馬・名牝、いや、全ての競走馬たちに感謝したい。

ディープインパクト サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere
ドナブリーニ Bertolini Danzig
Aquilegia
Cal Norma’s Lady リファーズスペシャル
June Darling

生涯戦績 19戦10勝(10-4-1-4)
主な勝鞍 牝馬三冠(桜花賞・オークス・秋華賞)、ドバイシーマクラシック、有馬記念、ジャパンC(2回)


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