ハービンジャー|記憶に残るKGⅥ&QES|観衆を驚かせた異次元の走りとは【競馬コラム】

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ハービンジャー|記憶に残るKGⅥ&QES|観衆を驚かせた異次元の走りとは【競馬コラム】

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ハービンジャー 記憶に残るKGⅥ&QESを振り返る

※キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの略称としてKGⅥ&QESと表記

2023年のマイルチャンピオンS(G1)を鮮やかな差し切り勝ちで見事G1馬に輝いたナミュールの父ハービンジャー。

現役時代は主に英国で活躍。引退後は、2011年から種牡馬として日本で供用されており、これまでナミュール以外にもペルシアンナイトブラストワンピースなど、数多くのG1馬を輩出している。

そんなハービンジャーだが、現役時代に”KGⅥ&QESで偉大な記録”を残し日本にやってきたことをご存知だろうか。

そこで今回は、未だ記録として破られていないハービンジャーの偉大な記録を中心に現役時代や産駒などを見ていきたい。

ハービンジャーとは…

ハービンジャー 牡馬 鹿毛 9戦6勝(6-1-1-1)主な勝鞍:KGⅥ&QES(英G1)

生年月日 出身国
2006年 3月 12日 英国 
調教師 主戦騎手
M.スタウト調教師(英国) R.ムーア騎手(KGⅥ&QESのみO.ペリエ騎手)

血統表

Dansili Danehill Danzig
Razyana
Hasili Kahyasi
Kerali
Penang Pearl Bering Arctic Tern
Beaune
Guapa Shareef Dancer
Sauceboat

父のダンシリは、祖父ダンジグ、父ディンヒルから続くスピード血統。現役時代は、主に仏国で走り14戦 5勝だった。
主な勝鞍:メシドール賞(G3)エドモンブラン賞(G3)ミュゲ賞(G2)
2着:フランス2000ギニー(G1)サセックスステークス(G1)フォレ賞(G1)
3着:ジャックルマロワ賞(G1)ムーランドロンシャン賞(G1)ブリーダーズカップマイル(G1)
生涯でG1勝ちはないが、G1では2着3回、3着3回と「あと一歩のところ」で堅実な走りを見せた。日本でいえば、ナイスネイチャサウンドオブアースといったところだろうか。
しかし、種牡馬としての成績は超優秀で、ことKGⅥ&QESに関しては、これまで6頭の勝ち馬を送り出しており、これは世界的大種牡馬ガリレオ(7頭)に次いで2位である。

そんな父ダンシリと母ペナンパールとの間に2006年ハービンジャーは誕生した。

ハービンジャーの戦績

日 付 レース名・距離・グレード 着順 着差
20090416 一般戦[芝1600m] 2着
20090506 未勝利戦[芝2000m] 1着 3馬身
20090728 ゴードンS[芝2400m](G3) 1着 1馬身3/4
20090818 グレートヴォルティジュールS[芝2400m](G3) 7着
20091024 セントサイモンS[芝2400m](G3) 3着
20100417 ジョンポーターS[芝2400m](G3) 1着 3馬身
20100507 オーモンドS[芝2680m](G3) 1着 1馬身1/2
20100619 ハードウィックステークス[芝2400m](G2) 1着 3馬身1/2

3歳の春にデビューし、4歳の6月までに重賞を4勝したが、G1という大きな勲章は獲得していなかった。そして、ハービンジャーは次走で世界的大レースの1つ、KGⅥ&QESがG1初挑戦となった。

KGⅥ&QESの歴史と日本馬の参戦

毎年7月中旬に英国のアスコット競馬場で行われるKGⅥ&QESは、英国の中距離路線のチャンピオン決定戦である。
欧州全体としても上半期における中距離王者決定戦として位置付けされている。日本でいえば、宝塚記念に近いかも知れない。
創設は1951年と歴史あるレースで仏国の凱旋門賞(仏G1)に対抗するため、当時の英国最高賞金レースとして始まった歴史がある。
そのため、創設当初から極めて価値が高く、1956年にはフェデリコ・テシオの最高傑作と言われている16戦無敗のリボーや1970年には英国三冠馬ニジンスキーが勝利している。


なお、これまで日本馬は延べ5頭が参戦している(以下の表を参照)

年代 馬名(父名) 着順(勝ち馬)
1969年 スピードシンボリ(ロイヤルチャレンヂャー) 5着(パークトップ
1985年 シリウスシンボリ(モガミ) 8着(ペトスキー
2000年 エアシャカール(サンデーサイレンス) 5着(モンジュー
2006年 ハーツクライ(サンデーサイレンス) 3着(ハリケーンラン
2012年 ディープブリランテ(ディープインパクト) 8着(デインドリーム

表の通り、日本馬としては2006年のハーツクライの3着が最高である。
この2006年のKGⅥ&QESでは、一旦は先頭に躍り出たハーツクライだったが、最後は、脚が上がってしまい、ハリケーンランらに交わされた。
ハーツクライほどの名馬でもバテてしまう――アスコット競馬場とは、とてもタフなコースである。そのため、走りやすく起伏も少なく整備されている日本の馬場に慣れ親しんだ日本馬にとっては、対応が難しく苦戦が強いられている。
この先、日本馬にとって凱旋門賞と同じく勝つのが困難かも知れない世界トップクラスのレースである。

ハービンジャーのKGⅥ&QES

2010年7月24日に行われた世界最高峰のレースの1つKGⅥ&QESで伝説を残すことになるハービンジャーは、スタート後、最終コーナーまで中団に位置し、追い出すタイミングを見計らった。
そして、最終コーナーに入ると外側に出し、最後の直線では外側から一気に追い上げを見せた。

最終直線では、1頭だけ異次元の走りを見せ、他の馬を置き去りにし、KGⅥ&QES始まって以来の最大着差となる11馬身差でG1初挑戦にして初勝利を飾った。
しかも、勝ちタイム2分26秒78
は、35年ぶりのコースレコード更新。なお、それまでのレコードは1975年の勝ち馬グランディ(牡3、英国)がもつ2分26秒98だった。

その後、2013年にノヴェリスト(牡4、独)が出した2分24秒60にレコードは更新されるが、2着に付けた差は5馬身だった。

皮肉にも主戦騎手のR.ムーア騎手は、同年の英国ダービーを7馬身差のコースレコードで勝利したワークフォースに騎乗した。そのため、この時、ハービンジャーに騎乗したのはO.ペリエ騎手だった。

こうして、ハービンジャーは、KGⅥ&QESのパフォーマンスにより、135ポイントのレーティングが与えられ、ワールド・サラブレッド・ランキングで2010年度の第1位に輝いた。
これは、2010
年時点で前年の2009年にシーザスターズが叩き出した136ポイントに次ぐ、歴代2位となった。ちなみに2023年現在では歴代8位である。

2010年 KGⅥ&QES 上位着順

1着 ハービンジャー(牡4、英国)O.ペリエ[60.5](2番人気)M.スタウト調教師

2着 ケープブランコ(牡3、愛国)C.オドノヒュー[55](3番人気)A.オブブライエン調教師
2010年の愛国ダービー馬

3着 ユームザイン(牡7、英国)R.ヒューズ[60.5](4番人気)M.シャノン調教師
2007年・2008年・2009年の凱旋門賞3年連続2着。32戦6勝だが、(6-8-8-10)と複勝率は69%とかなり高い。
また、
KGⅥ&QESでも2007年は2着・2008年は3着・2009年は出走せず、2010年も3着と欧州G1レースを2着3着で駆け抜けた素晴らしい名馬である。

4着 ダルヤカナ牝4、仏国)G.モッセ[59](5番人気)A.ドロワイエデュプレ調教師
2009年の香港ヴァーズ(G1)を無敗で勝利している。

5着 ワークフォース(牡3、英国)R.ムーア[55](1番人気)M.スタウト調教師
2010年の英国ダービー馬。このKGⅥ&QESでは敗れるが、次走の凱旋門賞で勝利する。
ちなみに翌年のKGⅥ&QESでは、ナサニエルの2着に敗れている。もちろん、鞍上はR.ムーア騎手だった。

こう見ると、2着ケープブランコとの斤量差が5.5キロある中での11馬身差は、とんでもない着差である。なお、この着差はKGⅥ&QES史上最大着差であり、未だに破られていない。

晴れてG1馬となったハービンジャーは、次走インターナショナルS(英G1)に向け、調整されていたが、調教中に左前脚の管骨を骨折。すぐに患部をボルトで固定する手術が執された。
幸い
手術は成功したが、その2日後に引退が発表された。

そして、引退後は、日本の社台グループに売却され、社台スタリオンステーションで種牡馬入りする。ちなみに馬房はディープインパクトの隣であった。

jra-van

主な代表産駒

馬 名 性別 主な勝ち鞍(年代)
ペルシアンナイト マイルチャンピオンC(G1)(2017年)
モズカッチャン エリザベス女王杯(G1)(2017年)
ディアドラ 秋華賞(G1)(2017年)
ブラストワンピース 有馬記念(G1)(2018年)
ノームコア ヴィクトリアマイル(G1)(2019年)香港C(G1)(2020年)
ニシノデイジー 中山大障害(G1)(2022年)
ナミュール マイルチャンピオンC(G1)(2023年)
ローシャムパーク オールカマー(G2)函館記念(G3)(ともに2023年)
ファントムシーフ 共同通信杯(G3)(2023年)

2023年11月現在、G1馬7頭、重賞馬(交流重賞を含む)23頭、JRAにおいて産駒の勝利数は600勝を突破するなど、種牡馬としては大成功を収めている。

まとめ(後継種牡馬について)

種牡馬は、初年度産駒がデビューしてから数年で実績を出さなければ、種牡馬生活の引退が迫られえる厳しい世界である。その中でハービンジャーは種牡馬として10年以上も活躍しており、これまで1200頭もの産駒を世に送り出している。

現在、日本の血統はサンデーサイレンスからのディープインパクトやキングカメハメハなどが主流血統となっている中、ハービンジャーは、その両方の血を持たない貴重な存在でもある。

しかし、後継種牡馬に関しては、少し状況が変わってくる。
それは、有馬記念という日本でも最高峰に位置するG1を勝利したブラストワンピースが種牡馬入りできなかった。なお、有馬記念を勝利した馬が種牡馬になれなかったのはテンポイントを除くと初となる。また、ペルシアンナイトも種牡馬にはなれず、現在、馬事公苑の乗馬として活躍中である。

その理由としては、主流血統を持たないハービンジャーが主流血統の繁殖牝馬に付けやすい=産駒は主流血統が濃い目になってしまう。よって、後継種牡馬については需要が見込めなくなる点だと考えられている。

しかし、今年の皐月賞でも1番人気に支持されたファントムシーフは、主流血統を持たない牡馬である。そのため、後継種牡馬になれる存在だと思われるが…。

いずれにせよ、ハービンジゃーも高齢に近づいているため、今後、ファントムシーフも含めた産駒(特に牡馬)の走りに注目したいところである。

 


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