クロノジェネシス|歴代最強馬|グランプリ女王|名牝たちの記憶⑲

名牝たちの記憶
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クロノジェネシス
グランプリ女王

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クロノジェネシス グランプリ女王

2019年の牝馬三冠は、
桜花賞――グランアレグリア
オークス――ラヴズオンリーユー
秋華賞――クロノジェネシス
と分け合った世代である。

さらに桜花賞馬はG1を6勝し、オークス馬は米国のG1を制した。そして、秋華賞馬クロノジェネシスは、牝馬として史上初のグランプリ三連覇を成し遂げた。これは、まさに最強牝馬世代といっても過言ではないだろう。

そこで今回は、グランプリ三連覇を成し遂げ、まだ記憶に新しいクロノジェネシスについての記憶を思い返したい。

不名誉な父・バゴ産駒として

父のバゴは、現役時代に凱旋門賞やガネー賞、パリ大賞など仏国のG1を5勝し、欧州最優秀3歳牡馬を受賞した名馬である。

母のクロノロジストは、現役時代に中央で2戦1勝。クロノジェネシスの他にヴィクトリアマイル(G1)や香港C(G1)などを制したノームコアも輩出している名繁殖牝馬である。

そんな両親の元、2016年3月6日に北海道は安平町のノーザンファームで生まれたクロノジェネシス。幼駒時代は、特に目立った印象がなかったという。

上々の2歳シーズン

その後、育成期間中、調教を重ねるごとに評価を上げていったクロノジェネシス。
月日は流れ、2018年9月の小倉競馬場で北村友一騎手を背にデビュー戦では1番人気に支持された。

ただ、この当時のバゴ産駒は2010年の菊花賞(G1)を制したビッグウィークなどを輩出していたとはいえ、日本の馬場では、走りが重く成長も遅いマイナー種牡馬という不名誉な評価だった。

また、クロノジェネシスがデビューするまでバゴ産駒が1番人気になるのは実に2年ぶりで、そもそも1番人気になった産駒はクロノジェネシスを含めて僅か6頭のみ。それだけに勝っても負けても快挙といえるデビュー戦となった。

しかし、そんな父の不名誉な評価を払拭するような走りをデビュー戦で披露し、見事1番人気に応えるのである。

続く、2戦目のアイビーS(OP)でも上がり最速を持って難なく勝利し、2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)に駒を進めた。

重賞未勝利ながら、ここ2戦の強い勝ち方を評価され、ダノンファンタジーに次ぐ2番人気。ここを勝って世代の頂へと意気込むクロノジェネシスだったが、珍しくスタートに手こずり、最後方からのレースとなった。
それでも最後の直線では、上がり34秒の末脚をみせるもダノンファンタジーを捕えられず、半馬身差の2着惜敗。3戦2勝2着1回と上々の成績で2歳シーズンを終えた。

不本意な春の牝馬三冠ロード

年明け緒戦のデイリー杯クイーンC(G3)ではビーチサンバをクビ差で破り、初重賞制覇を飾るも本番の牝馬三冠レースでは、G1という高い壁がクロノジェネシスの前に立ちはだかることになる。

一冠目の桜花賞(G1)では、のちにマイル界を席巻するグランアレグリアに突き放され3着。
オークス(G1)では、2年後に日本馬として初のブリーダーズカップF&Mターフ(米G1)を制することになるラヴズオンリーユーに及ばず3着。

牝馬i三冠戦線を2戦連続の3着とし、あと一歩のところで勝利を逃した。

意地の牝馬三冠最終戦

夏を経て、牝馬三冠最後の一戦となる秋華賞(G1)は、台風の影響で稍重の湿った淀の舞台となった。
オークス以来の実戦、さらに馬体重プラス20キロが不安視されてか、4番人気に甘んじたクロノジェネシス。1番人気は復活を目指す2歳女王ダノンファンタジー、2番人気は悲願の重賞初制覇を狙うカレンブーケドールだった。

しかし、桜花賞馬、オークス馬不在のここでは負けられなかった。

レースは、最初の1000メートルを58秒とハイペースで流れる展開にクロノジェネシスは、先頭集団の馬群の中で息を潜めた。
して、最後の直線で外に持ち出すや一気に加速。オークス2着のカレンブーケドールや桜花賞2着のシゲルピンクダイヤの猛追を退け、最後は2馬身差で勝利。見事、秋華賞馬に輝いた。

なお、バゴ産駒によるG1制覇は、ビッグウィーク以来、実に9年ぶりの快挙。また、管理する斉藤崇史調教師は中央G1初制覇となった。

G1馬となって迎えた次走は、古馬初対決となるエリザベス女王杯(G1)ここにはオークス馬ラヴズオンリーユーに1歳上の2歳女王ラッキーライラックなどが顔を揃える中、クロノジェネシスは2番人気に支持された。

ここを勝って古馬を含めた牝馬の頂点に、そう意気込むクロノジェネシスであったが、坂の下りでペースが速まったせいか、最内を強襲したラッキーライラックの復活を見届ける格好で5着に敗退する形で3歳シーズンの幕を閉じた。

1歳上の女王の壁

古馬となったクロノジェネシスは、春の始動戦を京都記念(G2)としたが、ここではモノが違ったのか、カレンブーケドールを2馬身突き放しての勝利。幸先の良いスタートを切った。

次走を春の中距離王決定戦である大阪杯(G1)に照準を当てたが、ここではG1馬5頭が出走し、混戦ムードが漂う中、4番人気の支持を受けたクロノジェネシスは、牡馬を交えたこの大舞台で秋華賞馬として、恥じぬレースを繰り広げようと終始3番手でレースを進めた。

最後の直線では、逃げ切りを図ろうとする1番人気のダノンキングリーを捉えたものの、エリザベス女王杯と同様に内側を縫うように突き抜けたラッキーライラックに交わされてしまい、無念の2着惜敗。2つ目のG1まで、またしてもラッキーライラックの前にあと一歩が届かなかった。

真価発揮の時

その後、クロノジェネシスはファン投票6位の支持を集めて春のグランプリ宝塚記念(G1)に出走した。
2度のも苦汁を飲まさせられた因縁の相手ラッキーライラックや同世代の皐月賞馬にして1番人気となったサートゥルナーリアなど、このレースでもG1馬8頭が顔を揃えた第61回宝塚記念。

天候は曇で馬場状態は稍重。
これは、秋華賞や京都記念と同じく雨で湿った馬場を得意とする道悪負けなしのクロノジェネシスにとって、天候も味方する形で自身の持ち味を遺憾なく発揮してみせた。

有力馬が重馬場に脚を取られ、伸びを欠く中、クロノジェネシスただ1頭だけ驚異的な末脚を炸裂させ、結果的には、2着の菊花賞馬キセキに6馬身もの差をつけて圧勝。秋華賞以来のG1勝利、初のグランプリ制覇を成し遂げたのである。

現役最強馬に名乗り出る

春のグランプリを制したクロノジェネシス。秋には、さらなる飛躍を求めた。
しかし、秋初戦となった天皇賞・秋(G1)では、アーモンドアイの3着に敗れたが、その後、冬のグランプリ有馬記念に出走。

このレースがラストランとなったラッキーライラックやC.ルメール騎手を背にG1・3勝馬フィエールマン、同世代の菊花賞馬ワールドプレミアなどの強豪馬が集った。

そんな中、先のジャパンC(G1)を制覇し、引退の花道を飾った最強女王アーモンドアイ去りし後、クロノジェネシスは現役最強馬に名乗りを上げる走りを見せるのである。

中団の位置に付ける形で追走したクロノジェネシスは、第3コーナー付近では早め先頭集団に付け、横綱競馬に持ち込もうとする。
最後の直線では、内で粘るフェールマンを交わすと、外から猛追してくる牝馬のサラキアを半馬身差抑え込んだところでゴール。レース史上初となる牝馬のワンツー決着となった。

また、この勝利で史上11頭目となる同一年のグランプリ連覇となり、また、牝馬によるグランプリ連覇は前年のリスグラシューに続き2頭目の快挙。

さらに半姉のノームコアが同月の香港カップ(G1)を制しており、姉妹による同月のG1制覇は史上2組目となり、日本と海外でのG1制覇は史上初となった。

こうして、グランプリ連覇の実績からクロノジェネシスは、この年のJRA特別賞を受賞するなど、同一年のグランプリ連覇は、様々な記録樹立となったのである。

グランプリ女王

充実の4歳を終え、5歳となったクロノジェネシスは、日本の悲願である凱旋門賞(仏G1)を視野に入れ、春はドバイの地に飛び立った。

惜しくもドバイシーマクラシック(G1)では、日本馬最先着となる2着だったが、帰国後は欧州に赴く前の前哨戦として宝塚記念に出走することになった。

しかし、ここで思わぬアクシデントが発生する。

デビュー時から手綱を取っていた無二の相棒、北村友一騎手が落馬事故のために負傷してしまったのである。
連覇かかる宝塚記念には、急遽、C.ルメール騎手に乗り替わりとなりレースを迎えた。

ここには、無敗の三冠馬コントレイルやマイル最強女王グランアレグリアを大阪杯で破ったレイパパレなど好メンバーが集った春のグランプリ宝塚記念。

しかし、レースでは、前を見据える形で先行勢に取り付いたクロノジェネシスは終始、余裕の手応えで直線に入り先に抜け出したレイパパレやユニコーンライオンに並ぶ間を与えず、一瞬で抜き去り、2馬身差の圧勝。

宝塚記念連覇はゴールドシップ以来7年ぶり、グランプリ三連覇は、グラスワンダー以来、実に22年ぶりとなる史上3頭目の偉業達成となり、それも牝馬としては初の偉業達成となった。

これでG1通算4勝目。
世界に挑む日本の現役最強馬としての貫禄をみせつける一戦となったのである。

世界一の称号に向けて

その後、満を持してフランスに旅立ったクロノジェネシスは、日本競馬の悲願を果たすべく、その思いを一身に背負いロンシャン競馬場のターフに立った。

レースでは、外枠の不利もあってかただ1頭だけ大外を回す奇策に打って出た。得意な重馬場だったとはいえ、慣れないロンシャンのターフに前日からの大雨による超極悪馬場に苦しみ、最後は力尽きての7着。世界の壁は厚かったと感じさせられた。

史上初のグランプリ四連覇なるか?

こうして、またも日本馬の悲願達成はお預けとなり、帰国後、クロノジェネシスはラストランとなる有馬記念に脚を進めることとなる。

なお、クロノジェネシスにとって、この有馬記念は、未だかつてどの馬も達成したことがない史上初のグランプリ四連覇の懸かる一戦でもあった。

しかし、このレースには、横山武史騎手を鞍上にこの年の皐月賞(G1)を制し、日本ダービー(G1)ではハナ差の2着、3歳にして天皇賞・秋を制したエフフォーリアや菊花賞(G1)で逃げ切り勝ちをみせたタイトルホルダーなど期待の新星が集った。

そんな新たなライバルたちに対し、いくら海外帰りとはいえ、クロノジェネシスは、現役最強馬としての矜持と王者としての走りを持って、新世代の挑戦を真っ向から受け応えてみせるのである。

薄雲がわずかに漂った晴天の中山競馬場。
レースでは、中団に構えたクロノジェネシスを終始見るような体勢でエフフォーリアが向正面で馬体を併せて、迎えた直線では一気に抜け出したエフフォーリアが後続を突き放す中、クロノジェネシスは馬群を割って前に迫るが届かず、同じ凱旋門賞帰りのディープボンドに次ぐ3着。

惜しくも史上初のグランプリ4連覇と有終の美を飾ることは叶わなかった。
しかし、新時代の到来を真っ向勝負で挑んだクロノジェネシスは、最強女王の名に恥じぬ姿をファンの目に焼き付け、惜しまれながらターフに別れを告げた。

新たな時代の幕開け

牝馬は牡馬に勝てない――かつて、その言葉は競馬の常識だった。

それは遠い過去のものとなり、今では誰も口にしないその事実を確実なものとしたのは、昨今に至るまでの名牝たちの活躍と同世代のライバルたちの輝かしい実績だといえよう。

そして、最強牝馬世代の秋華賞馬として牡馬と真っ向から闘い、牝馬初のグランプリ三連覇の偉業を持って最後まで戦い抜いたクロノジェネシスは間違いなく日本歴代最強馬の1頭である。

間違いなく1つの時代を作り上げ、次なる時代を紡ぐ立役者となったクロノジェネシス。この先、彼女の仔がグランプリ四連覇という偉業を成し遂げる日が来れば、これほどの競馬ロマンはないのではないだろうか。

バゴ Nashwan Blushing Groom
Height of Fashion
Moonlight’s Box Nureyev
Coup de Genie
クロノロジスト クロフネ フレンチデピュティ
ブルーアヴェニュー
インディスユニゾン サンデーサイレンス
ラスティックベル

生涯戦績 17戦 8勝(8-3-4-2)
主な勝鞍 秋華賞、宝塚記念(2回)、有馬記念


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