ラインクラフト|歴代最強馬|天才2世が愛した早逝のヒロイン|名牝たちの記憶㉑

名牝たちの記憶
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ラインクラフト
天才2世が愛した早逝のヒロイン

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ラインクラフト 天才2世が愛した早逝のヒロイン

史上初となる桜花賞とNHKマイルCを制した変則二冠馬ラインクラフト。
しかし、突然に訪れたその病はあっけなく、その偉大な血をこの世から消し去った。
もし、彼女が生きていれば…。
もし、彼女の仔がターフを駆け抜けていれば…。

きっと、多くの競馬ファンは、未だにそう思っているに違いない。それほど、数多くの名牝たちと熾烈な争いを演じ、世代の中心で活躍し続けたのだから。

そこで今回は、志半ば病のため早逝した悲劇のヒロイン・ラインクラフトの偉大なる記憶について振り返っていきたい。

偉大な牝系を継ぐ

父のエンドスイープは、日本で残した産駒がわずか3世代ながら、スイープトウショウアドマイヤムーンといった多くの名馬を輩出した種牡馬である。

母のマストビーラヴドは、サンデーサイレンス産駒として、3戦未勝利で現役を引退。
競走馬としては、まったく活躍できなかったマストビーラヴド。ただ、その血統を辿れば、ファンシミンに繋がる。
このファンシミンは、米国で競走馬生活を送ったのち、1972年に社台ファームに輸入された繁殖牝馬である。しかしながら、条件戦を4勝したダイナカルメンが代表産駒であり、ファンシミンの仔たちは競走馬として大きな活躍をみせられなかった。

ところが、その仔たちが繁殖入りすると、重賞馬ダイナフェアリーダイナシュートファンシーテーストなどを輩出し、さらに近年ではソングオブウインドトウケイヘイローら曾孫世代にその血が受け継がれている。

そのため、ファンシミン系は、スカーレットインク系などとともに社台の伝統の名牝系の一つとして評価されるまでとなった。ちなみに先述のダイナシュートがラインクラフトの祖母にあたる。

そんなファンシミンの血を継ぐ仔として、ラインクラフトは2002年4月4日に北海道はノーザンファームにて生を受けた。

馬名の由来は、冠名+ドイツ語で『力』と命名されたラインクラフトは、栗東の名門・瀬戸口勉厩舎に所属し、デビューから引退までの全13戦を福永祐一騎手が騎乗することになるのだった。

雪辱から世代頂点へ

2004年10月の京都芝1400mの新馬戦を5馬身差で快勝し、続くファンタジーS(G3)でも2着のモンローブロンドに4馬身差を付けて圧勝。一躍、2歳女王の主役に躍り出た。
しかし、3戦目となった阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)では、ショウナンパントルに競り負けて3着に敗れてしまう。

年が明け、エアメサイアディアデラノビアとの3強対決となった桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(G2)では、先行押し切りを図った7番人気のデアリングハートを最後はアタマ差に差し切って勝利。
改めて、世代頂点への主役に躍り出たのだった。

しかし、ここで問題が発生する。
主戦の福永騎手が、同じく主戦だったシーザリオと騎乗が被ってしまったのである。だが、福永騎手は先約のあったラインクラフトに騎乗となった。

そんな中で次走の桜花賞(G1)ではシーザリオに次ぐ2番人気に支持される格好となったが、道中ではデアリングハートの後ろでレースを進め、最後の直線では追い比べを振り切り、後方から追い込んできたシーザリオをアタマ差に凌ぎ見事、桜の栄冠を手にした。

 

異例の路線変更

見事、桜花賞馬となったラインクラフトだが、次走は距離適性を考慮し、定石のオークス(G1)ではなくNHKマイルC(G1)に向かうこととなった。
なお、この異例のローテーションは史上初のことであり、桜花賞3着のデアリングハートも同じ路線を選択する。

そして、迎えたNHKマイルCでは、武豊騎手騎乗のペールギュントに次ぐ2番人気だったが、中団から直線で最内をついて抜け出し、追い込みを図るデアリングハートを1馬身と3/4差に退け完勝。
史上初の桜花賞・NHKマイルカップの変則二冠を達成した。

ちなみにこのローテーションに挑戦した桜花賞馬は他にグランアレグリア(NHKマイルカップ5着)しかいない。また、現在もこの変則二冠達成はラインクラフトが唯一の存在である。

ライバルの後塵を拝する

秋はローズS(G2)から始動したラインクラフト。
ここではライバル・エアメサイアの2着に敗れ、続く秋華賞(G1)でもエアメサイアとの完全2強対決の前にエアメサイアのクビ差2着に終わる。しかし、距離不安説を覆す僅差の2着は、改めて高評価を得たのだった。

その後、古馬との初対決となったマイルCS(G1)では、ハットトリックダイワメジャーに次ぐ3着に好走するも続く阪神牝馬S(G2)では初の馬券圏外となる4着に敗れ、この年を終える。

ここまで、10戦5勝、2着2回、3着2回で桜花賞とNHKマイルCのG1を2勝と文句ない好成績を収めた。
しかし、JRA賞最優秀3歳牝馬はオークスとアメリカンオークス(米G1)を制したシーザリオに惜しくも僅差で敗れ、受賞を逃したのだった。

悲劇は突然に…

年が明けて4歳となったラインクラフトは、初の1200mとなる高松宮記念(G1)から始動。
ここでは、オレハマッテルゼの2着に入り、スプリントでの距離適性があることも示した。
そして、前年の暮れ4着に敗れた阪神牝馬Sが春開催に施行変更となり、ここで前年の鬱憤を晴らすかのように快勝する。

その勢いのまま、新たに創設されたヴィクトリアマイル(G1)に1番人気で出走したが、出遅れが影響してか、まさかの9着に大敗してしまう。

今思うと、この時にラインクラフトの馬体は、異常をきたしていたのかも知れない――。

その後、春は全休とし、秋のスプリンターズS(G1)に向けて休養に入った。

そして、ノーザンファーム空港牧場にて、放牧中の調教で突如倒れ、急性心不全で急逝する。
4歳での突然すぎる訃報は当時の競馬ファンに大きな衝撃を与えた。
奇しくも亡くなった8月19日は、祖父サンデーサイレンスと同じ命日となった。

 

未だに惜しむ名牝の血

突如、この世を去った史上初の変則二冠馬ラインクラフト。

改めて、その血統をみると、ラインクラフトの半弟アドマイヤロイヤルは、2013年のプロキオンS(G3)を勝ち、さらには、マストビーラヴドの全弟には、2005年の高松宮記念(G1)を勝ったアドマイヤマックスがいる。

また、凌ぎを削ったライバルたちに目を向けてもシーザリオは繁殖牝馬としてエピファネイアリオンディーズサートゥルナーリアを輩出し、名牝の地位を固めた。

エアメサイアも2016年の牡馬クラシックを盛り上げたエアスピネルを輩出している。

デアリングハートに関しては、2020年にはシーザリオとデアリングハートの両馬を祖母に持つデアリングタクトが無敗で牝馬三冠を達成した。

このようにラインクラフトの近親の活躍、ライバル馬たちが繁殖牝馬として大活躍する姿をみれば、余計に偉大な血を継ぐラインクラフトの血が、この世に残らなかったことが悔しいと思うファンは数多くいるだろう。

そして、史上初となる桜花賞・NHKマイルCの変則二冠馬に輝いた偉大なる功績は、約20年経った今もその功績に並ぶ名牝は現れていない。それほどまでに偉大な名牝だったことは間違いない。

 

エンドスウィープ フォーティナイナー Mr.Prospector
File
Broom Dance Dance Spell
Witching Hour
マストビーラヴド サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ダイナシュート ノーザンテースト
シャダイマイン

生涯戦績 13戦 6勝(6-3-2-2)
主な勝鞍 桜花賞、NHKマイルC


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