ラッキーライラック|歴代最強馬|4度咲きの幸運の花|名牝たちの記憶⑰

名牝たちの記憶
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ラッキーライラック
4度咲きの幸運の花

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ラッキーライラック 4度咲きの幸運の花

ラッキーライラック――幸運の花と名付けられた栗毛の牝馬は、史上7頭目の三冠馬オルフェーヴルの初年度産駒として、4度の大輪を咲かせ、21世紀の日本競馬史に欠かすことのできない名牝の1頭となった。
しかし、同世代に歴代最強牝馬がいたことで”幸運の花”は、4度咲きにとどまってしまったのかも知れない。

今回は、歴代最強牝馬と同世代に生まれながら、4度も”幸運の花”を咲かせたラッキーライラックについての輝かしい記憶を振り返りたい。

栗毛の幸運の花

父は現役時代、何かと話題となりながらも日本競馬史上7頭目の三冠馬に輝いた栗毛のオルフェーヴル。また、母のライラックスアンドエースも美しい栗毛の馬体を持ち、現役時代は米国のアッシュランドS(米G1)を勝っている。

そんな栗毛の両親のもと、ラッキーライラックは、2015年4月3日に北海道安平町のノーザンファームで誕生した。栗毛の両親を受け継いだ彼女も綺麗な栗毛だった。

2歳女王の座に

順調に成長したラッキーライラックは、2017年8月20日の新潟競馬場でデビュー戦を迎えた。
石橋脩騎手を背に2番人気を物ともせず、上がり33秒1の末脚で駆け抜けて勝利。
続くアルテミスS(G3)でも溢れ出る才覚を発揮してみせたラッキーライラック。ここでも難なく勝利し、2戦目にして重賞初制覇を達成した。

父の価値を高めるべく挑んだ2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で人気を分け合ったのは自身と同じオルフェーヴル産駒にして同じく2戦無敗のロックディスタウンであった。

産駒初の重賞勝利は、ロックディスタウンに譲ったもののラッキーライラックは、それ以上の勲章を父に捧げるべく邁進する走りを見せるのである。

レースでは、中団より少し前から道中を運び、最後の直線で伸びを欠いたロックディスタウンを尻目に1頭抜け出す格好で見事3戦無敗の2歳女王に輝いた。
父オルフェーヴルに産駒初となるG1勝利をプレゼントし、満票で最優秀2歳牝馬を受賞。

来年の牝馬三冠路線は、ラッキーライラックを中心に動いていく――誰もがそう思えたほど、その強さを披露したラッキーライラックは、これ以上ない戦績で2歳シーズンを終えたのである。

思わぬ強敵現る

年が明け3歳となったラッキーライラックは、満を持して、桜花賞トライアルのチューリップ賞(G3)に出走。ここでも横綱相撲でチューリップ賞を難なく制したラッキーライラックは、4戦無敗のまま桜花賞(G1)に駒を進めた。

その桜花賞では、単勝オッズ1.8倍に支持され、さらに有利とされる内枠を引き当て、まさに必勝態勢だった。
しかし、運命のいたずらか、この桜花賞を含めて牝馬三冠路線の全てに立ちふさがったのは、龍王の血を受け継いだ同世代の怪物アーモンドアイである。

桜花賞でも、これまでと同様、早め先頭に躍り出て、完璧なレースぶりでゴールを目指したラッキーライラック。
まずは牝馬一冠と思われた矢先――大外からケタ違いの末脚で抜け出した龍王の娘アーモンドアイの末脚に屈しての2着。まさかの初黒星を喫した。

思わぬ強敵の出現に次走で雪辱を誓ったラッキーライラック。
しかし、この先に歯がゆいレースが続くことになるとは、2歳女王の時点で誰が想像しただろうか。

最強女王の影

その後、雪辱を晴らすべく臨んだオークス(G1)では、アーモンドアイの影すら踏めずの3着に敗れ、続く秋華賞(G1)でも球節の怪我や鞍上の乗り替わりが影響してか、アーモンドアイの牝馬三冠達成を遠くから見届ける格好で9着に惨敗。

結局、3歳の春先以降は、思うような結果を残すことができなかったラッキーライラック。
さらには、この秋華賞がアーモンドアイとの最後の対決となってしまい、3戦全敗と雪辱を果たせぬまま、2年後に現役生活を終えることとなる。

思わぬ強敵が同世代に存在したことで少しずつ歯車を狂わされたラッキーライラック。方や史上最強牝馬の道を歩むことになるアーモンドアイ。
屈辱という苦汁を飲まされた幸運の花は、1度咲きにて萎んでしまったのである。

咲かない花

翌年、古馬となったラッキーライラックは、休養明け初戦に同じオルフェーヴル産駒の皐月賞馬エポカドーロらG1馬5頭の豪華メンバーが揃う中山記念(G2)から始動。
さすがにこのメンバーでは分が悪いとファンに判断されたのか、6番人気に甘んじたラッキーライラックだったが、2歳女王のプライドは、前評判を覆す走りを見せたかにみえた。

しかし――マルターズアポジーの大逃げを2番手から追走し、伸び悩む人気勢を出し抜いて先頭に立ったラッキーライラックであったが、中山巧者にして後に香港の地で覚醒することとなるウインブライトに頭差で屈し2着惜敗。ウインブライトが中山記念連覇を達成した。

だが、この走りで早熟説を覆し、まだまだ実力が衰えてないことを証明したラッキーライラック。ただ、不振というべき、本位なレースが続くことになる。

次走の1番人気に推された阪神牝馬S(G2)では、ミッキーチャームの8着に敗れ、ヴィクトリアマイル(G1)でも1番人気ながらノームコアの4着に惨敗。
さらには、休養を挟み挑んだ秋の府中牝馬S(G2)でもあと一歩が届かずの3着だった。

これはアーモンドアイに敗れた後遺症なのか。幸運の花の蕾は再び開花しないまま時は過ぎていく。

2度目の開花

次走のエリザベス女王杯(G1)を迎えるにあたり、陣営は、主戦の石橋脩騎手から短期免許で来日していたC.スミヨン騎手に騎手変更を決断。
世界の名手を背に迎え、真の女王決定戦エリザベス女王杯に駒を進めることとなった。

かつて、父オルフェーヴルと凱旋門賞(仏G1)に挑んだ世界的な名手スミヨン騎手に導かれたラッキーライラック。

そして、1年8カ月に及ぶ長く苦しいトンネルを今突き抜け、その蕾は今、開花しようとしていた。

レースでは、これまで先頭集団に付ける形でレースを運んでいたラッキーライラックだったが、中団で脚を溜める戦法に切り替えた。これが功を奏したのか、最後の直線では、逃げ粘るクロコスミアを最内から強襲。
上がり32秒台の豪脚を繰り出し、4戦無敗のオークス馬ラヴズオンリーユーや秋華賞馬クロノジェネシスの猛追を振り切った。

まさに『2歳女王がよみがえる!ラッキーライラック復活』であった。
こうして、阪神ジュベナイルフィリーズ以来のG1制覇となり、2度目の幸運の花が開いたのである。

海外遠征からの兆し

見事、エリザベス女王杯を制し、牝馬の頂点に立ったラッキーライラックは、その後、香港の地に飛び立った。目指すは香港ヴァーズ(G1)である。

引き続きスミヨン騎手が手綱を取り、G1通算3勝目を目論むも、まさかのスタートで遅れをとり、後方から追走する形となったラッキーライラックは、最後の直線で大外から一気の豪脚で猛追する。しかし、同じ日本馬のグローリーヴェイズに3馬身半差も離された。
ただ、前年の同レース勝ち馬エグザルタントを捕えての2着は評価に値するだろう。

帰国後、翌年も現役続行となったラッキーライラックは、鞍上にM.デムーロ騎手を迎えて挑んだ中山記念ではダノンキングリーの2着だったが、決して悲嘆する内容ではなかった。ちなみに3連覇を狙ったウインブライトは7着に敗れている。

そして、次走は、古馬の中距離王決定戦大阪杯(G1)に出走。前走の中山記念でラッキーライラックを破った未完の大器ことダノンキングリーが1番人気に支持され、ラッキーライラックは差のない2番人気。3番人気には、エリザベス女王杯の雪辱を狙うクロノジェネシスが続いた。

2年前、悔しさに涙をのんだ桜花賞と同じ舞台で桜吹雪が降りしきる阪神競馬場。昨年のエリザベス女王杯を皮切りに生まれ変わったラッキーライラックは、このレースにてまた一歩大きな成長を遂げるのである。

レースでは、予想外の逃げを打ったダノンキンブリーの逃げ粘りを悠々と捉えたラッキーライラック。ともに伸びてきたクロノジェネシスの叩き合いを難なく制しG1通算3勝目を挙げた。

これぞ、進化が止まらぬ黄金の三冠馬の血を引く見事な走りとなり、3度目の幸運の花は仁川の地で美しく開花させた。

最強女王を見据えるも…

その後、古馬王道距離で才覚を現したラッキーライラックは、ファン投票で大きな支持を受け、春のグランプリ・宝塚記念(G1)に向かった。
是が非でもここを勝ち、同世代の怪物にして現役最強馬でもあったアーモンドアイに挑みたいラッキーライラックであったが、3度目の正直を狙う1つ歳下の秋華賞馬クロノジェネシスに足をすくわれることになる。
稍重となった阪神競馬場の悪馬場に足を取られ伸び悩むラッキーライラックや有力馬たち。そんな中で抜け出したクロノジェネシスが6馬身差の圧勝を見せ、ラッキーライラックは馬場が合わなかったのか6着に敗れた。

宝塚記念を終え、短期休養を経て、夏の札幌記念(G2)に出走したラッキーライラックであったが、ここでは早仕掛けが功を奏せず、ノームコアの3着に敗れ、最強女王の背中が遠のいてしまう形となった。

女王の座は譲らない

夏の札幌を経て、再び休養に入ったラッキーライラックは、昨年復活を果たしたエリザベス女王杯の連覇を狙い、休養明けぶっつけ本番での出走となった。
さらに鞍上はデムーロ騎手から、アーモンドアイの相棒であるC.ルメール騎手を鞍上に迎え入れた。
この年は、
京都競馬場の改修工事により阪神開催となったエリザベス女王杯。ラッキーライラックにとって、相性が良い阪神競馬場。そこでラッキーライラックは新たな伝説を刻むこととなる。

レースでは、後方待機から馬なりで先頭を捉えたラッキーライラックは、後続の追撃も首差で振り切り堂々先頭でゴール板を駆け抜けた。これでG1通算4勝目。
幸運の花は4度目の開花を見せ、
名牝アドマイヤグルーヴメジロドーベルらに肩を並べる史上4頭目となるエリザベス女王杯連覇達成となった。
また、阪神開催の異なるG1を3勝するのは史上初の快挙でもあった。

幸運の花は次なる開花へ

エリザベス女王杯連覇となった前々週の天皇賞・秋(G1)で史上初の芝G1通算8勝を成し遂げたアーモンドアイに及ばずとも歴代の名牝に負けず劣らずの戦績を残したラッキーライラック。

引退レースとなった有馬記念では、史上2頭目となる牝馬によるグランプリ連覇を達成したクロノジェネシスの雄姿を眺める4着に敗れ、繁殖入りとなった。

同世代にアーモンドアイがいなければ歴史的な名馬となり得た。そうラッキーライラックを評するファンも少なくはない。
しかし、最強女王という
大きな壁を乗り越え、不屈の闘志で最後まで戦い抜いたからこそ、ラッキーライラックの戦歴は輝きを増し、父から受け継がれた黄金の旅路にふさわしい生き様を残せたのではないだろうか。

そして、祖父ステイゴールドから続く黄金旅程は、ラッキーライラックの仔たちに受け継がれ、旅路の先に咲き誇る幸運の花を再び開花させてくれることだろう。その時が来るのが今から待ち遠しいばかりである。

オルフェーヴル ステイゴールド サンデーサイレンス
ゴールデンサッシュ
オリエンタルアート メジロマックイーン
エレクトロアート
ライラックスアンドレース Flower Alley Distorted Humor
プリンセスオリビア
Refinement Seattle Slew
ステラマドリッド

生涯戦績 19戦 7勝(7-4-3-5)
主な勝鞍 阪神ジュベナイルフィリーズ、大阪杯、エリザベス女王杯(2回)


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