母は牝馬三冠全て2着の名牝ヴィルシーナ。偉大な”母の忘れ物”獲りに…ディヴィーナに立ちはだかる名牝の仔とは?【週刊競馬ニュース】
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14日、東京競馬場で行われたアイルランドトロフィー府中牝馬S(G3)は、2番人気のディヴィーナ(牝5、栗東・友道康夫厩舎)が逃げ切り勝ち。見事、重賞初勝利を飾った。
これでディヴィーナは、11月12日のエリザベス女王杯(G1・京都芝外2200m)の優先出走権を手にしたことになる。
レースは、キャリア17戦目で初の逃げ戦法に出たディヴィーナが、多少掛かりながらも後続馬を引き離す展開に府中の観客がどよめいた。
これは、レース前にデムーロ騎手が「今日はペースが遅くなるかも知れないので、馬のリズムで行かせて下さい」という判断がピッタリとハマった格好となり、1000m通過は、ちょうど60秒。まさに鞍上が絶妙なペースを刻んだといえよう。
迎えた最終コーナーでは、2番手と5馬身以上の差があったが、府中の直線は525.9mと長い。そのため、5馬身差は決してセーフティリードとはいえない中で、デムーロ騎手の必死の手綱捌きに、ディヴィーナもそれに応えようとギアを上げた。
そして、ゴール前では、4番人気だった横山武史騎手とルージュエヴェイユの猛追をハナ差で凌いだのである。
「かかったけど、先頭に立ったときに抜け出して、すごい良かったです」とレース後に、そうコメントを残したデムーロ騎手は、今年4月のニュージーランドトロフィー(G2)をエエヤンで制して以来、約半年振りのJRA重賞制覇となった。
なお、気になる次走について、管理する友道康夫調教師は「これからもう1回相談しますけれども、今のところはエリザベス女王杯に行けたら…」と今後の方向性を示唆している。
偉大な母の忘れ物を獲りに
そんなディヴィーナの母は、2012年の牝馬三冠レース全てが、ジェンティルドンナの2着だったヴィルシーナである。
その後、ヴィルシーナは2013年、2014年のヴィクトリアマイル(G1)を連覇し、名牝の仲間入りを果たしたが、真の女王決定戦に値するエリザベス女王杯だけは、3年連続で出走するも2着、10着、11着と縁がなかった。
それだけに娘のディヴィーナには、偉大な”母の忘れ物”として、是が非でも女王の勲章を手にしてほしいと思うところだ。
立ちはだかる名牝の仔とは?
しかし、3歳牝馬三冠を全て2着と”準三冠牝馬”だったヴィルシーナは、ジェンティルドンナに対し”あの仔さえいなければ…”状態だったといえよう。
そんな宿敵ジェンティルドンナは、昨年のエリザベス女王杯を制したジェラルディーナ(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)といったG1馬を輩出し、母としてもヴィルシーナを一歩リードしている。
そのジェラルディーナは、もちろん連覇のかかるエリザベス女王杯を狙いに今年も出走するだろう。そうなれば、ディヴィーナにとって最大の敵になることは間違いない。
とはいえ、あれから11年の時を経て、三冠牝馬と準三冠牝馬の娘同士、奇しくも同世代の2頭が、エリザベス女王杯の舞台で相まみえるとなれば、いち競馬ファンとして、偉大な母であり名牝たちには感謝しかない。それほど、違った角度からも競馬が楽しめるのは嬉しい話である。それが名牝の仔となれば尚更だ。
果たして、ディヴィーナは、母の宿敵だった――その娘を相手に”母の忘れ物”を京都の地で獲ることができるか、注目したい。
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