デュランダル|歴代最強馬|後方一閃の鬼脚|名馬たちの記憶㉝

名馬たちの記憶
jra-van
デュランダル
後方一閃の鬼脚

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デュランダル 後方一閃の鬼脚

短距離戦では不利とされる後方一気を駆使し豪快な末脚で短距離及びマイル界を席巻したデュランダル。

後方大外から一閃の鬼脚で駆け抜けた姿は、圧倒的な切れ味で全馬を一刀両断する。他に類を見ない豪快なレーススタイルで人気を博した短距離最強馬だった。

今回は、そんなデュランダルの記憶について振り返ってみたい。

走らない良血

父は言わずと知れた大種牡馬サンデーサイレンス

サワヤカプリンセス、その父はノーザンテーストという良血配合から、デュランダルは1999年5月25日に北海道千歳の社台ファームで生を受けた。

サンデーサイレンス×ノーザンテーストの配合を見れば、如何にも”走る血統”と思われがちだが、この頃、この配合は、G1どころか重賞でも苦戦するという有様だった。
そのため、この配合は”走らないのではないか”と、まことしやかに囁かれていたのだった。

しかし、そんな血統背景を持つデュランダルは”走らない良血”を覆すかのようにデビュー戦からその才覚を発揮するのである。

デビュー戦は、2歳暮れの阪神競馬場。
武豊騎手を背に道中は中団から上がり最速の差し脚を披露。2着に1馬身半差を付けての勝利だった。

しかし、前途洋々の船出に見えた矢先に脚部不安が判明し、クラシック出走は夢幻となる。

そこで復帰後は自己条件の短距離とマイル戦に絞り再起に磨きをかけていくことになるのだが、これがデュランダルにとって光明となるのは、まだ先の話である。

果敢な挑戦

8カ月の休養を経て臨んだ復戦では、2着に敗れはしたものの、そこから条件戦を怒涛の3連勝で5戦4勝とした。
陣営は、
その勢いのまま、次走をマイルチャンピオンS(G1)に挑戦。

さすがに、この時点では経験不足と初の大舞台の空気にのまれてか10着に敗れた。また、血統構成からくる不安説も唱えられた。

初のG1大敗以降は、オープンクラスでの勝ち負けが続く。
そんなデュランダルに転機が訪れたのは、2003年のセントウルS(G2)3着からコンビを組んでいた池添謙一騎手の進言。それは、秋のスプリンターズS(G1)に出走したことだった。

王者交代

2003年のスプリンターズSには、昨年の覇者にして同レースが引退レースとなる当時のスプリント女王ビリーヴや無傷の5連勝で参戦してきたディープインパクトの半姉レディブロンドなど、豪快な顔ぶれが集った。その中で、デュランダルは重賞未勝利ながら5番人気に支持された。

追い込みが不利とされるスプリント戦でデュランダルのレーススタイルが通用するのかと不安視されての出走となったが、デュランダルは大外後方一閃の鬼脚を存分に発揮してみせるのである。

1番人気のビリーヴが、有終の美を飾ろうとした刹那、その鬼脚は大外から解き放たれた聖剣の如く末脚で全馬をまとめて薙ぎ倒す快挙。
無論、父サンデーサイレンスと母の父ノーザンテースト産駒として初のG1馬となり、見事に配合不安説を吹き飛ばす形となった。

そして、ビリーヴとのハナ差は、その着差以上の衝撃を与え、堂々と秋のスプリント王に上り詰めたのである。

後方一閃の鬼脚

短距離王者に輝いたデュランダルの次走は、昨年敗れたマイルチャンピオンSとなった。ところが、前走をフロック視されてか、またも5番人気に甘んじる。

この評価に憤慨してか、デュランダルはこのレースでも全馬を一刀両断に切り裂いた。
前走と同じ後方待機のまま最後の直線に入ると、先に抜け出しを図ったファインモーションを大外から、ただ1頭の上がり3ハロン33秒台の鬼脚にて置き去りにしゴール。見事G1・2連勝を飾った。

この勝利で前走がフロックでないことを証明したデュランダル。
この年の最優秀短距離馬を射止め、名実ともに短距離最強馬の地位に君臨したのである。

短距離最強馬として

年が明けて、5歳になっても現役続行を表明したデュランダル。
年明け初戦は、春のスプリント王決定戦、高松宮記念(G1)に駒を進めたが、小回りの振りも響いてか、前方のサニングデールを捕らえることができず、僅差の2着に終わる。

その悔しさをバネに次走の安田記念(G1)を目指して調教を積んでいたデュランダルだったが、ここでまさかの裂蹄のアクシデント。春シーズンの全休が余儀なくされたのである。

秋に入ると傷は回復したものの調整に手間がかかってしまう。
それでもディフェンディングチャンピオンとして、ぶっつけ本番でスプリンターズSに出走。
連覇のかかる一戦だったが、思わぬ伏兵馬カルストンライトオの逃亡劇に対し2着に屈してしまう。

順調とは言えない中で出走し2着に敗れたが、次走も連覇がかかるマイルチャンピオンSに駒を進めたデュランダル。短距離最強馬として、負けられない一戦だった。

そして――
デュランダルは、他馬を圧倒する大外後方一閃の鬼脚で淀のターフを切り裂くことになる。

代名詞ともいえる”後方一閃の鬼脚”がダンスインザムードやファインモーションといった名牝たちを薙ぎ倒し、先行勢に並ぶまでもなく抜き去ると、2馬身もの差をつけ圧巻の勝利。

見事、タイキシャトルダイタクヘリオスに並び史上4頭目となるマイルチャンピオンS連覇を飾ったのだった。

香港最強馬との激戦

マイルチャンピオンSを連覇したデュランダルは意気揚々と香港に海外遠征を果たしたが、ここではレース間隔も短く5着に敗退。

その代償なのか、帰国後、父サンデーサイレンスを死に追いやった蹄葉炎を患ってしまうのである。
ただ、管理する陣営の懸命な治療の末、翌年も現役続行となった。

しかし、復帰戦となったのは、スプリンターズSで香港遠征から実に10カ月が経過していた。
デュランダルにとって、3回目となる今回は、当時の香港最強馬サイレントウィットネスとの大一番が待っていた。
1年近くレース間隔が開いた実践だったが、それでもファンは2番人気に支持する。

そして、後方一閃の鬼脚は健在だった。出走メンバー唯一の上がり32秒台の鬼脚で猛追。これが約1年ぶりとなる馬の脚なのかと目を疑うほど強烈すぎた末脚だった。

しかし、競馬の神様は、香港最強馬に微笑んだ。さすがは世界最速の名馬と謳われたサイレントウィットネスである。
デュランダルの鬼脚を持っても差を詰めることは出来ず、1馬身と1/4届かずの2着惜敗。

そして、このレースで燃え尽きてしまったのか、3連覇のかかった次走のマイルチャンピオンSでは、1番人気に支持されるも後輩馬たちに遅れをとる形で8着に敗れ、現役引退となった。

鬼脚はファンの脳裏に…

引退後は、種牡馬として、オークス馬エリンコートなどG1馬を輩出したが、2013年7月7日に14歳という若さでこの世を去ったデュランダル。
後方一閃の鬼脚で見る者を驚嘆させたレースは忘れ得ぬ強烈な個性とインパクトを残した。

そして、走らないと揶揄された同じ血統背景を持つダイワメジャーがデュランダルの引退レースとなった翌年と翌々年のマイルチャンピオンSを連覇するのだから、こういう点も競馬のロマンを感じてならない。

血統面然り、また強烈な後方一閃の鬼脚は、月日が経ってもファンの心の中に深く刻み込まれたことだろう。

サンデーサイレンス Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
サワヤカプリンセス ノーザンテースト Northern Dancer
Lady Victoria
スコッチプリンセス Creme dela Creme
Meadow Saffron

生涯戦績 18戦 8勝(8-4-1-5)
主な勝鞍 スプリンターズS、マイルチャンピオンS(2回)


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