ジャングルポケット
新時代への咆哮
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ジャングルポケット 新時代への咆哮
日本の競馬界にとって、外国産馬開放元年となった2001年は、新世紀の訪れと伴い、新たな門戸を開いた年といえよう。その新時代の幕開けを象徴する名馬の1頭――ジャングルポケット。
直線の長い府中で発揮された力強い差し脚と激しい気性からくる溢れんばかりの闘争心は、多くのファンを魅了した。
今回は、新時代の幕開けに咆哮を上げ、新世紀の扉を開いたジャングルポケットの記憶について振り返りたい。
チーム・フジキセキの再結成
父はサンデーサイレンス、ブライアンズタイムとともにリーディング争いを繰り広げていた名種牡馬トニービン。母のダンスチャーマーは、世界的大種牡馬ヌレイエフを父に持つ良血馬。
そんな両親の元、1998年5月7日に北海道は安平町のノーザンファームで誕生したジャングルポケット。
かつて、三冠確実と期待されながら、クラシック直前の故障によって早期引退となったフジキセキ。ジャングルポケットは、そのフジキセキと同じ馬主、調教師、そして、角田晃一騎手という何とも不思議な巡り合わせで管理されることになった。
稀有なデビュー戦
ジャングルポケットは、2000年9月2日、札幌競馬場芝1800mでデビューした。
このレースには、のちに朝日杯3歳S(G1)を制覇するメジロベイリーや東京スポーツ杯3歳Sの勝ち馬タガノテイオーも出走していた。
ジャングルポケットは単勝5番人気であったが、道中を先頭集団から先に抜け出すと、後にこのレースに出走した8頭全てが、勝ち上がるというハイレベルな新馬戦を快勝した。
なお、JRAでは1勝も挙げられずに登録を抹消される馬も多いことを考えると、極めて稀有な例であった。
伝説のラジオたんぱ杯3歳S
続く2戦目となった札幌3歳S(G3)では、単勝5番人気ながら、のちの二冠牝馬テイエムオーシャンなどを蹴散らし重賞初制覇を飾った。
その後、来年のクラシックを見据え、年末のラジオたんぱ杯3歳S(G3)に出走。
この一戦でジャングルポケットは近代最強と呼ばれる同期のライバルたちと出会うことに。その相手とは、アグネスタキオンとクロフネである。
レースでは、1番人気クロフネ、2番人気にアグネスタキオン、3番人気にジャングルポケットと文字通り、3強対決となった。
レースでは、クロフネをマークする形で最後の直線を迎えたジャングルポケット。
しかし、外から飛んできたアグネスタキオンに並ぶ間もなく突き放され、最後はクロフネを交わしたもののアグネスタキオンに届かずの2着。
このレースは、のちに”伝説のラジオたんぱ杯”と呼ばれることになるのだが、ジャングルポケットにとって、この1戦はアグネスタキオンの強さに屈する形でレースを終えたのである。
雪辱果たせぬまま
年明け4歳となったジャングルポケットは、初戦に共同通信杯(G3)を選択した。
ここでは、持ったままで先頭に躍り出たジャングルポケットは、ゴーサインで内側にヨレたものの後続を一切寄せ付けないレースで圧勝。
その後、皐月賞(G1)に直行したジャングルポケットは、因縁の相手アグネスタキオンに借りを返すべく、レースに意気込んだが、スタート時につまずくというまさかのアクシデントに見舞われる。それにより後方スタートを余儀なくされたジャングルポケットは、最後の直線で何とか大外から懸命に追い込んだもののアグネスタキオンどころか2着のダンツフレームにも届かずの3着。
なお、アグネスタキオンが、この皐月賞後に屈腱炎を発症し早期引退を余儀なくされため、2戦2敗のまま、雪辱の機会を永久に失われたのである。
新時代への咆哮
世代ナンバーワンの呼び声が高かったアグネスタキオンがターフを去った今、次走の日本ダービー(G1)ではライバルとして、絶対に負けられない一戦だった。
しかし、強敵は何もアグネスタキオンだけではない。伝説のラジオたんぱ杯で3強とされた、外国産馬のクロフネの存在も大きかった。
前述の通り、この年から外国産馬に門戸が開かれたことで、条件さえクリアすれば外国産馬もクラシックに出走可能となった。
そんなクロフネは、NHKマイルカップ(G1)を圧勝し、文句なしで日本ダービーに参戦が決まり、ダービー当日はジャングルポケットとクロフネの2強対決で大いに盛り上がりを見せることとなる。
そして、アグネスタキオン引退後、空欄となった世代最強馬の座を掴むべく、ジャングルポケットは得意の府中で内国産馬の総大将として気を吐いた。
レースでは、テイエムサウスポーが大逃げを見せる展開で1000m通過タイムが58秒とハイペースとなった。縦長の隊列となる中でジャングルポケットは、クロフネと並ぶように中団後方でレースを進めた。
最後の長い直線に入ると、早めに抜け出したクロフネを横目に交わしたジャングルポケットは、外から馬体を寄せてきたダンツフレームを抑え、ねじ伏せるような末脚で栄光のゴールを駆け抜けた。
これでチーム・フジキセキは、6年前に果たせなかった夢の続きを見事に叶えたのである。
21世紀最初の日本ダービー馬に輝いたジャングルポケット。勝利後のウイニングランでは、咆哮する姿を見せた。
それは、アグネスタキオンが去りし後の世代最強馬は、自分であると言い放つように猛々しさを感じる、まさに新時代に向けての咆哮だったに違いない。
新たなライバル
トニービン産駒としては、ウイニングチケット以来、2頭目のダービー馬となったジャングルポケット。次なる目標は、秋の菊花賞(G1)を制して二冠馬になることだった。
そこで陣営は、次走をトライアルレースではなく、古馬との初対決の舞台として札幌記念(G2)を選択。圧倒的1番人気に支持された中、レースでは、最後の直線を大外からまくって前に出たものの疲れが残っていたのか、いつもの伸び脚を欠き、エアエミネムの3着に敗れた。
そして、迎えた菊花賞でも初の長距離戦に戸惑いを見せたのか、折り合いを欠いた。
それでもダービー馬の意地として、最後の直線では、大外から豪快な追い込みを見せるも夏の間に急激な成長を見せた”上がり馬”マンハッタンカフェに及ばず4着と無念の敗退を喫してしまうのであった。
世紀末覇王との戦い
ダービー馬として不甲斐ない戦いが続き、これ以上の敗北は許されないジャングルポケットは、次走をジャパンC(G1)とした。
このレースには、前年に年間無敗で史上初のグランドスラム(古馬中長距離G1完全制覇)を成し遂げたテイエムオペラオーやこの年の宝塚記念(G1)を制したメイショウドトウ、ドバイシーマC(当時G2)を制したステイゴールドに2年前の菊花賞馬ナリタトップロードなどが参戦。
さらには世界各国で戦い続け50戦以上の戦歴を積み重ねてきたインディジェナスや愛国ダービー3着馬ゴーランなど、まさに新時代の始まりに相応しい好メンバーが揃った。
レースでは、府中の長い直線に入ると、テイエムオペラオーが満を持して先頭に立ち、昨年同様に横綱競馬で後続を封じようとした。しかし、追いすがる古豪たちを尻目に外からジャングルポケットが猛追。
世代最強馬王者と現役最強馬の意地と意地がぶつかり合う一騎打ちの展開に場内から大歓声が上がる。そして、最後はゴール前、クビ差で捉えたジャングルポケットに軍配が上がった。
この2頭に遅れて3着にはナリタトップロード、4着ステイゴールド、5着にメイショウドトウと続いたことで21回目を迎えたジャパンCで日本馬が掲示板を独占したのは史上初となった。
また、3歳馬(2001年より馬齢が現表記に変更)の制覇はエルコンドルパサー以来3年ぶり、内国産3歳馬によるジャパンC制覇は史上初の快挙となった。
新世紀開幕の2001年――日本ダービー、ジャパンCを制したジャングルポケットは、この実績が評価され、暮れの有馬記念(G1)を制したマンハッタンカフェらを抑え、最優秀3歳牡馬と年度代表馬に選出されたのである。
燃え尽きた咆哮
年が明けて、テイエムオペラオーらが引退したことで、この年の古馬王道路線はジャングルポケットが中心になるだろうと誰もが思ったに違いない。
しかし、新時代開幕の激走で燃え尽きたのか、その後、ジャングルポケットは、ファンに勝利する姿を見せることはなかった。
そして、4歳の有馬記念でシンボリクリスエスの7着に敗れ、レース後には腰部筋肉痛と左前蹄球炎を発症し、惜しくも引退が発表された。
消えかかる直系の血
引退後、種牡馬となったジャングルポケットは、2021年3月に亡くなるまで、1400余りの産駒を世に残した。
中でも2011年の天皇賞・秋を制したトーセンジョーダンを始め菊花賞馬オウケンブルースリや天皇賞・春を勝ったジャガーメイルなどのG1馬を輩出したが、トニービンからの直系の血といった部分では、現在ほとんど残されていない。
しかし、その溢れんばかりの闘争心と府中の長い直線で見せた豪脚、強敵たちと激闘を繰り広げた栄光と勲章。
新時代の幕開けに魅せた、その輝かしくも荒々しく勇ましい咆哮は、競馬ファンの脳裏にいつまでも残り続けるだろう。そして、その咆哮を受け継ぐ馬が出てくることを信じて待ちたい。
トニービン | カンパラ | Kalamoun |
State Pension | ||
Severn Bridge | Hornbeam | |
Priddy Fair | ||
ダンスチャーマー | Nureyev | Northern Dancer |
Special | ||
Skillful Joy | Nodouble | |
Skillful Miss |
生涯戦績 13戦 5勝(5-3-2-3)
主な勝鞍 日本ダービー、ジャパンC
※馬齢表記は、現在の表記+1で表記している。
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